カンキツ新品種「肥のあかり」
- [要約]
- カンキツ新品種「肥のあかり」は、「日南1号」から育成した極早生温州の珠心胚実生種である。「豊福早生」より着色が早く、高糖度で減酸が早いことから、9月下旬には収穫、出荷が可能である。
- [キーワード]
- カンキツ新品種、「肥のあかり」、珠心胚実生種、高糖度、減酸が早い
- [担当]
- 熊本農研セ果樹研・常緑果樹研究室
[連絡先]電話0964-32-1723
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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これまでの極早生温州には、高単価が望める9月下旬に出荷できる品種がなかったため、この時期に出荷可能で、栽培しやすく果実品質が良好な品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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1991年に「日南1号」を種子親に「ジョッパオレンジ」を交配し、胚分離・培養を行って育成した珠心胚実生種である。
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樹姿は、「豊福早生」と同様の中間で、樹勢はやや強い(表1)。
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葉の大きさは、「豊福早生」よりやや小さい。枝梢は長く、若木の時はトゲが発生しやすい。
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着色は揃いが良く、9月下旬には4〜6分となり「豊福早生」より10日程度早い。完全着色は10月上旬であり、果皮色が濃い(表2)。
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果汁は高糖度で、酸は低く食味は良好で、9月下旬には糖度10度以上、酸1%程度となる(表3)。
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以上のことから、「肥のあかり」は、「豊福早生」出荷前の9月下旬から収穫・出荷が可能で、樹勢の強い極早生温州として期待できる。
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[成果の活用面・留意点]
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「肥のあかり」は温州ミカン栽培地域において、温暖で日照条件が良く排水良好な園に適し、シートマルチ栽培を行うことで、より特性が発揮できる。
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結果期に至るまでは、トゲの除去と葉数確保に努めるが、トゲは結実を開始すると次第に消失する。また、着果促進のために開張気味の樹姿をとることが必要である。
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結果当初は果実がやや小さい傾向にあることから、早期摘果に努める。
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ウイルス・ウイロイド対策として、高接ぎ樹からの穂木採取は行わない。
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[具体的データ]
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表1 「肥のあかり」の樹体、葉、枝梢の形態

表2 「肥のあかり」の果実形態及び着色時期(2000〜2002年)

表3 「肥のあかり」の年次別果実品質

写真1 「肥のあかり」着果状況(2002年10月9日)
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[その他]
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研究課題名:カンキツ優良品種の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1991〜2002年度
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