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極早生温州「かごしま早生」の品質向上のための土壌水分管理法


[要約]
「かごしま早生」において、透湿性シートマルチ設置下の土壌水分を5〜6月がpF2.5、7月がpF2.7、8月〜収穫期がpF2.7〜2.9の乾燥状態で管理することにより、9月中〜下旬には糖度10度以上、クエン酸1%以下となり、着色も早くなる。

[キーワード]
ウンシュウミカン、かごしま早生、品質向上、マルチ栽培、土壌水分

[担当]
鹿児島果樹試・栽培研究室

[連絡先]電話0994-32-0179	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
極早生温州の高品質化が強く求められている中で、鹿児島県では「かごしま早生」への転換を進めている。本品種の出荷時期である9月中旬〜10月上旬に高品質な果実を安定して生産するためには、マルチ栽培下での土壌水分管理法を確立する必要がある。そこで、シラスを母材とする灰色台地土に植栽した「かごしま早生」(高接ぎ4年生樹)においてマルチ開始時期を2月及び5月、乾燥程度をpF2.7とpF2.9として品質向上効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 2月にマルチを設置し、深さ20cmの土壌水分は5〜6月をpF2.5、7月をpF2.7、8月〜収穫期をpF2.7〜2.9の乾燥状態で管理する(図1)。

  2. 乾燥処理により葉水分ポテンシャルは8月上旬が-0.7MPa、8月下旬が-0.9MPaとなり、無処理の-0.5〜-0.6MPaより低くなる(表1)。

  3. 糖度は9月上旬に10.0度、9月中旬に10.3度となり、無処理より1.3〜1.4度高い(表2)。クエン酸は無処理と同等である。着色は早く、透湿性シートマルチの反射光により、樹冠下部に着果した果実の着色も良好となる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 過乾燥に注意し、葉のしおれや落葉の兆候が見られる場合には葉面散水や3mm程度のかん水を行う。

  2. 収穫後は十分かん水するとともに、施肥、葉面散布により樹勢回復を図る。

  3. 耕土が深い灰色台地土(深さ80cm)での研究成果であるが,耕土が浅い園地においても同様のpF値を指標に土壌水分管理する。

[具体的データ]

図1 土壌pF値の変化(2002年)


表1 葉水分ポテンシャル(MPa、2002年)


表2 土壌乾燥時期別果実品質(2002年)

[その他]
予算課題名:消費者ニーズに対応した極早生温州の飛躍的食味向上技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度


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