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カキ「伊豆」のへたすき及び果実軟化軽減のための早期摘蕾と適正結果量


[要約]
カキ「伊豆」は開花2週間前に摘蕾を行うとへたの発育が促進され、へたすきの発生が減少し、果実軟化率も低下する。結果量を葉果比で15〜12にすると果重はやや小さくなるが、同じ重量階級の果実ではへたすき程度は軽くなる。また、果実軟化率が低下し、収量が増加するため、粗生産額は増加する。

[キーワード]
カキ、伊豆、摘蕾、へたすき、果実軟化、葉果比

[担当]
福岡農総試・果樹部・果樹育種チーム

[連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
カキ「伊豆」は収穫直前や収穫後急激に軟化しやすく、その発生要因の一つとしてへたすきがある。へたすきが生じた果実ではエチレンや呼吸速度の増大がみられ、このことが果実の急激な軟化を引き起こすと考えられる。へたすきの発生は結果量の多少との関連性が強いが、近年大玉を生産するために結果量を過度に制限し、へたと果実の発育に不均衡が生じてへたすきの発生を助長しているため、結実管理の改善が求められている。そこで、摘蕾・摘果の時期や結果量がへたの発育とへたすきならびに果実軟化に及ぼす影響を明らかにし、果実軟化の軽減を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. へたの発育は摘蕾区が最も良好で、次いで摘花区、摘果区の順で優れ、摘蕾区ではへたすき程度が軽くなり、果実軟化率も低くなる(表1、一部データ略)。

  2. 摘蕾時期は早いほうが、開花期のヘたの発育が良好となる(データ略)。

  3. 結果量を葉果比で慣行の20より低い15〜12にすると果重はやや小さくなるが、へたすきの発生割合や発生程度が軽減するとともに、果実軟化率も低くなる(図1表2)。

  4. 葉果比を低くすると同じ重量階級の果実でもへたすき程度は軽くなる(図2、一部データ略)。

  5. 葉果比を低くすると果実はやや小さくなるが、収量が多くなるとともに果実軟化率が低くなり粗生産額は葉果比12で高くなる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「伊豆」のへたすき・果実軟化発生防止対策の技術資料として活用する。

  2. 摘蕾は開花2週間前に行い、生理落果後に葉果比15〜12で仕上げ摘果を行う。

  3. 摘蕾を早めに行い遅れ花が着生した場合は、再度摘蕾を行う。

  4. 収穫後は早めに施肥を行い、貯蔵養分の蓄積を促す。

[具体的データ]

表1 結実管理の違いと果実軟化率


図1 結果量の違いとへたすきの発生割合


図2 結果量の違いと果重階級別へたすき程度


表2 結果量の違いと果実軟化率ならびに収量(2002年)

[その他]
研究課題名:カキの樹上軟熟果発生要因解明と発生防止法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度


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