「上野早生」および「不知火」の高温(摂氏35度)処理による減酸促進
- [要約]
- 収穫直後のカンキツ類果実を、摂氏35度の高温条件下に置くことにより減酸が図られ、処理4日〜7日間で15%〜28%程度の減酸が可能である。
- [キーワード]
- 上野早生、不知火、高温処理、減酸
- [担当]
- 佐賀果樹試常緑果樹研
[連絡先]電話0952-73-2275
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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「上野早生」のマルチ栽培や、酸高傾向にある「不知火」では、収穫時に高酸となる果実の存在が問題となる。そこで、収穫後に果実の減酸を促進し、商品化率を高めるための高温処理技術を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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「上野早生」を高温(摂氏35度)下に4日間おくと15%減酸し、室温(摂氏25度)より減酸が促進される(表1)。
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「不知火」を高温(摂氏35度)下におくと、低酸果実区では4日間で19%減酸し、処理4日以降は減酸促進効果が小さい。高酸果実区では、4日間で19%、7日間で28%減酸し、高酸な果実で減酸促進効果が高い(図1、表2)。
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各品種とも高温処理による糖度や食味、香りへの影響は見られない(表1、表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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光センサー式選果機で選別、除外される高酸なカンキツ類果実を短期間に減酸促進し、商品化することができる。
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湿度が低下した場合には、減量が大きくなり、また果皮は萎縮し、剥皮しにくくなることから、湿度を高く保つ必要がある。
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収穫時に果皮に傷がある場合には、果実に腐敗等の障害が発生しやすい。
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[具体的データ]
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表1 「上野早生」の収穫時と処理後の果実品質(H.15.10.3)

図1 「不知火」の高温(摂氏35度)処理がクエン酸含量に及ぼす影響

表2 「不知火」の収穫時と処理後の果実品質(H15.12.4)
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[その他]
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研究課題名:不知火の高品質果生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成11〜15年度
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