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早生温州の非破壊選果データを活用した環境要因分析と個別指導の効果


[要約]
果実品質を左右する要因は、園地の立地条件等の差に比べ、気象条件の違った年次による差が大きく、高品質果実連年生産のためには、シートマルチを早期実施し、適宜かん水を行う水分管理が必要である。それを踏まえて、個々の園地にあった個別指導を行うと、園地管理を改善する園主が増え、結果的に品質が向上する。

[キーワード]
ウンシュウミカン、非破壊選果データ、要因分析、個別指導

[担当]
熊本農研セ果樹研・常緑果樹研究室

[連絡先]電話0964-32-1723	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
現在、販売においては非破壊選果機を利用して「商品の差別化」を行いながら、有利販売が行われてきている。選果データは、出荷された果実すべての品質について調査が行われたもので、園地の状況を把握できるデータであるが、生産対策への活用は十分ではない。そこで、早生温州について非破壊選果データを用い品質に関わる環境要因の分析を行い、それを踏まえて、面接式の個別指導を行い、その効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 選果データと園地条件等の要因分析を行ったが、年次の天候による格差が大きく、園地条件では糖度と密植度、酸度(クエン酸含量)と傾斜度、樹高で若干傾向がある程度で、大きな関係はみられない(表1)。

  2. シートマルチ栽培は、露地に比べ糖度は高くなるが、年次の差が大きい(表2)。これは、シートマルチの設置時期が遅いことによる影響があると考えられる(表3)。そこで、高品質果実連年生産のためには、シートマルチを早期に実施し、過乾燥になる場合は適宜かん水する必要がある。

  3. シートマルチの改善(被覆方法や設置時期等)について、各園の状況に応じて個別に指導を行うことにより、園主に具体的な管理改善が伝えられ、また「やる気」を起こさせることができる。その結果、シートマルチ栽培を実施する園地が増え、実施時期の前進化が進む(表3)。

  4. 個別指導をすることで指導した園の品質が向上する(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 選果データを活用に当たって、産地に普及するためには変換ソフトが必要となる。

  2. 指導後のチェックや再指導を行うことでさらなる品質向上が期待できる。

[具体的データ]

表1 平成9〜11年の選果データと園地条件の相関


表2 年次および出荷区分別の糖度と酸度の差


表3 個別指導がシートマルチ栽培推進に及ぼす影響


表4 高品質を目指した個別指導が果実品質に与える影響

[その他]
研究課題名:低樹高・少資材によるニューセラー系温州ミカンの品質保証果実生産技術
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度


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