ヒリュウ台「白川」幼木期の省力的施肥法
- [要約]
- 肥効調節型肥料施用により、ヒリュウ台「白川」の幼木期の年間施肥回数を慣行(有機配合肥料施用で2〜8月で毎月、10月に1回の合計8回)の1/4に低減し、窒素の投入量を21%削減できる。
- [キーワード]
- ウンシュウミカン、ヒリュウ台、未結果期、環境負荷低減、省力化
- [担当]
- 熊本農研セ・果樹研・病虫化学研究室
[連絡先]電話0964-32-1723
[区分]九州沖縄農業・果樹、生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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普通ウンシュウ「白川」は高糖系で品質良好であるが、樹勢が強いため、ヒリュウ台の利用が好ましい。そこで、ヒリュウ台「白川」の早期成園化を、省力的でかつ環境負荷が少なく図れる施肥法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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肥効調節型肥料区は、3月施用が有機配合肥料・現行基準量区の3〜9月分の7割施用、10月施用が同量施用で、窒素の投入量を21%削減できる(表1)。
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肥効調節型肥料区は、肥効調節型・均等溶出・基準量区以外では、有機配合肥料・現行基準量区と比較して、ほぼ同等の生育である。有機配合肥料区では、3割増量区が現行基準量区に比べ、幹周が大きく、伸び率も高い(表2)。
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地上部および地下部の総重量は、有機配合肥料区より肥効調節型肥料区が大きい傾向である。有機配合肥料区より肥効調節型肥料区がT/R率(地上部重/地下部重)が低く、地下部の生育が良い傾向である(表3)。
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樹容積は、有機配合肥料・基準量区と肥効調節型肥料施用区で差はなく、肥効調節型肥料の均等溶出タイプと6月重点溶出タイプの差も見られず、また、基準量と3割減量による差もほとんど見られない(表2、表3)。
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ほ場試験で、6月下旬から7月上旬の梅雨期の土壌からの排水(深さ50cm)中の硝酸態窒素濃度は、肥効調節型肥料均等溶出・3割減量区が有機配合・基準量区に比べ低く、水質への施肥窒素の負荷を低減できる(データ略)。
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[成果の活用面・留意点]
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ヒリュウ台普通ウンシュウミカン栽培に適用する。
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肥効調節型肥料は地温に窒素の溶出速度が強く影響されるので、3月施用の時期を厳守する。施肥時期を逸した場合は、肥効調節型肥料ではなく有機配合肥料を施用する。
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肥効調節型肥料施用の場合の土壌条件は問わないが、土壌が過乾のときは窒素の溶出やその根群域への浸透が遅れるおそれがあるので、かん水等により肥料の溶出を促す。
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肥効調節型肥料施用の場合の減肥割合は、堆きゅう肥の種類、施用量並びに土壌診断結果を考慮する。
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資材費は、有機配合肥料の9割程度である(データ略)。
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[具体的データ]
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表1 試験区の構成と施肥

表2 肥料の種類および施肥量の違いが樹体生育に及ぼす影響(ほ場試験)

表3 樹容積および地上部、地下部の乾物重(ポット試験)
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[その他]
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研究課題名:低樹高・少資材によるニューセラー系温州ミカンの品質保証果実生産技術
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2001年度
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