ハウスミカンの腐敗要因と防止対策
- [要約]
- ハウスミカンの腐敗には、果皮表面の物理的な傷と果実の酸度が密接に関与しており、果皮表面に傷をつくらないことと、満開日から収穫までの期間並びに収穫期間を長引かせずに果実の酸度を下げ過ぎないことが、腐敗果抑制のポイントである。
- [キーワード]
- ハウスミカン、果実腐敗
- [担当]
- 大分柑橘試・研究部
[連絡先]電話0978-72-0407
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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ハウスミカンは夏の高温期が収穫時期になることもあり、露地ミカンに比べて腐敗果が発生し易く、販売上の大きなデメリットになっている。そこで、腐敗果の発生要因と発生防止対策を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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現地ハウスミカン園の36棟で調査した1,800果のうち、3.2%が貯蔵期間中の2週間以内に腐敗し、腐敗した果実の60%に枝やハサミによる傷が果皮上に認められる。一方、外観上の腐敗原因が確認できないものも30%存在する(図1)。
- 腐敗果の発生率は園地間差が大きく、腐敗果の発生が全く認められなかった園地が全調査園の40%を占めるのに対し、発生率が10%を超える園地も8%でみられる。腐敗果の発生率(Y)は、平均酸度(X1)と傷果率(X2)との間にのみ相関が認められ、これらを説明変数とした重回帰式Y=-11.269X1+0.322X2+9.231の相関係数は0.568**と1%水準で有意となることから、腐敗果率は、酸度が低く傷果率が高いほど高くなると考えられる(図2)。
- 収穫開始日から調査果実の収穫日までの日数と果皮水分との間に正の相関(r=0.599**)が認められる(図3)。一方、果実の酸度は、果皮水分、満開日から収穫日までの日数との間にそれぞれ負の相関(r=-0.543**、-0.500**)が認められることから、果実の酸度は、満開日から収穫日までの日数が長いほど、また、満開日から収穫日までの日数に関係なく収穫開始から収穫終了までの日数が長くなるほど低くなると考えられる(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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今回の調査では、殺菌剤の種類や散布の有無と腐敗果発生との関係については判然としなかった。
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[具体的データ]
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図1 腐敗果実の特徴

図2 重回帰式による腐敗果率の予測値と実測値との関係

図3 収穫開始から収穫までの日数と果皮水分含量との関係

図4 腐敗果率と各要因間の関係
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[その他]
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研究課題名:環境変化に対応した施設栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003年度(2002年〜2004年)
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