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被覆複合肥料を用いたマンゴー「アーウイン」の施肥回数低減


[要約]
加温ハウス栽培マンゴー「アーウイン」では、被覆複合肥料を用いて施肥回数を年3回から2回に削減することにより、収量、果実品質を低下させることなく10a当たりの労働時間を約90分削減することができる。

[キーワード]
マンゴー、アーウイン、被覆複合肥料、施肥回数、省力

[担当]
鹿児島果樹試・化学研究室

[連絡先]電話0994-32-0179	
[区分]九州沖縄農業・果樹、生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
果樹産地では担い手の不足や高齢化が進行し、作業の省力化が望まれている。一方、果樹ではポンカン、ビワ、温州みかんで肥料の溶出を調節できる被覆複合肥料を用いて施肥回数を低減する技術が報告されている。そこで、近年、鹿児島県内で面積拡大の気運が高まりつつあるマンゴーに被覆複合肥料を用いた施肥回数低減技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 収量、1果平均重及び果皮色は被覆肥料区と対照区の間に差はみられない(表1)。糖度、クエン酸含量及び果肉硬度は被覆肥料区と対照区の間に差はみられない(表2)。

  2. 収穫期の葉中窒素含有率は2002、2003年には被覆肥料区が対照区よりも高い傾向であり、被覆肥料区の葉緑素計値は対照区よりも概ね高く推移する(表3図1)。

  3. 12月18日に施用したリニア型70日タイプは施用後97日後の3月25日に、7月4日に施用したリニア型100日タイプは施用後118日後の10月30日に窒素の溶出率が80%を上回る。

  4. 10a当たりの施肥量及び施肥時間は被覆肥料区で102.7kg、216分であり、対照区と比べて約40kg、約90分削減できる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 施設栽培のマンゴーに活用できる。

  2. 被覆複合肥料の溶出には土壌水分が不可欠であるため、極端な乾燥状態にならないように適正な土壌水分管理に努める。

  3. 10a当たりの肥料費は被覆肥料区が18,055円であり、対照区より5,565円高くなる。

[具体的データ]

表1 収量、1果平均重及び果皮色


表2 果実品質


表3 収穫期の葉中窒素含有率(%)


図1 葉緑素計値の推移および被覆複合肥料からの時期別窒素溶出率


表4 施肥時間及び肥料費の比較(10a当たり)

[その他]
予算課題名:南九州及び南西諸島における特産果樹の新作型並びに高付加価値果実生産技術の開発
予算区分 :助成試験(先端技術等地域実用化)
研究期間 :2000〜2003年度


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