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ジベレリンペースト処理したニホンナシ「幸水」の果実品質


[要約]
ニホンナシ「幸水」の果実重と糖度は、ジベレリン(GA)ペースト処理の有無に係わらず年次変動が小さく、果実重はGAペースト処理果が無処理果より重くなるが、糖度や糖組成などの果実品質には顕著な相違が認められない。また、果皮色のカラーチャート値が2前後の果実は、GAペースト処理、無処理とも、果実重が軽い場合には糖度も低い。

[キーワード]
ニホンナシ、幸水、ジベレリンペースト、糖度、糖組成

[担当]
福岡農総試・果樹部・果樹栽培チーム

[連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ジベレリン(GA)ペーストはニホンナシの熟期促進剤として、大半の「幸水」産地で利用されている。従来、GAペーストの効果は果実の熟期および肥大促進のみで、その他の品質への影響は小さいとされてきた。しかし、年によっては市場から糖度不足や食味低下を指摘され、このため使用を見合わせる産地も出ており、GAペースト使用の可否が生産・販売上の大きな問題となっている。そこで、GAペースト処理した「幸水」の果実品質の年次変動の実態を調査し、食味に関連の大きい糖含量・糖組成に及ぼす影響についても明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「幸水」の果実重と糖度はGAペースト処理の有無に係わらず年次間の変動が小さい。果実重はGAペースト処理果が無処理果に比べて重く、果皮色、果肉硬度、糖度などの果実品質には顕著な相違が認められない(表1)。

  2. 果皮色のカラーチャート値が2前後の果実で、GAペースト処理、無処理とも果実重が軽い場合には糖度も低い(表2)。

  3. 収穫当日、収穫6日後とも、常温条件下ではGAペースト処理の有無による果実品質の相違は認められず、糖組成は収穫当日に比べて収穫6日後にブドウ糖が増加し、ソルビトールが減少するが、GAペースト処理による糖の含量・組成比への影響はない(表3、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「幸水」でGAペースト処理を行う際の参考資料として活用できる。

  2. 果皮の着色や肥大が十分でない果実の収穫は避ける。

[具体的データ]

表1 GAペースト処理した「幸水」の果実品質の年次変動(1997〜2002年)


表2 GAペースト処理した「幸水」の果皮色・果実重別の糖度(1997〜2002年)


表3 GAペースト処理した「幸水」の果肉の糖含量・糖組成比に及ぼす影響(2002年)

[その他]
研究課題名:落葉果樹に対する植物生育調節剤の利用
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2002年度


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