［要約］: 染色体を倍加したブドウの四倍体は枝と葉柄が太く、成葉は大きくなり、1新梢当たりの花穂着生数が減少する。また、果粒重は増加し、種子は大きくなり、1果当たりの種子数は減少する。
［キーワード］: ブドウ、四倍体、染色体、花穂、果粒重、種子
［担当］: 福岡農総試・果樹部・果樹育種チーム


［連絡先］電話092-922-4946	
［区分］九州沖縄農業・果樹	
［分類］科学・参考

［背景・ねらい］: 高品質で大粒のブドウを育成するために、「巨峰」群を中心とした四倍体品種の育成が行われている。さらに、四倍体品種の変異の幅を広げるために既存の二倍体品種をin vitroコルヒチン処理して四倍体を作出したが、染色体倍加が樹体および果実形質に及ぼす影響は明らかでない。そこで、これらの四倍体についてその元となった二倍体品種と比較して、特性の違いを明らかにし、倍数性育種の基礎資料とする。

［成果の内容・特徴］

四倍体系統の発芽期は元の二倍体に比較してやや遅くなるが満開期には差がない。花穂着生数は四倍体が元の二倍体品種に比較して明らかに少ない（表1）。
結果母枝の節間長は二倍体と四倍体に差がないが、四倍体は枝が太くなる。
四倍体の葉は鋸歯がとがり、成葉や葉柄も四倍体で大きくなる。しかし、葉身の形、裂片数および葉柄裂刻の形に差は認められない。
四倍体の果粒は縦径、横径ともに大きく、果粒重も大きくなるが果粒形は変わらない。糖度は四倍体で高くなる傾向であるが、酸含量には差がない。有核品種の四倍体では種子数が減少する一方、種子重が増加する（表2）。

［成果の活用面・留意点］

［具体的データ］

表1　コルヒチン処理で得られた四倍体の生育期ならびに花穂着生数

表2　コルヒチン処理で得られた四倍体の果実品質ならびに種子の形質

［その他］

研究課題名：invitroコルヒチン処理による四倍体系統の作出と特性調査
予算区分　：指定試験
研究期間　：1997～2002年度