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パインアップル園におけるアルカリ土壌対策


[要約]
pH7.0程度の国頭マージ土壌に、土壌10kgあたり60gを上限としてイオウを施用することにより、アルカリ萎凋症を改善することができる。しかし、それ以上になると改善困難である事から、原因となるアルカリ性の砕石を圃場に入れないことが重要である。

[キーワード]
パインアップル、国頭マージ、砕石、イオウ、土壌pH

[担当]
沖縄農試・名護支場・パイン研究室

[連絡先]電話0980-52-0052	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]行政・参考	

[背景・ねらい]
パインアップルは酸性土壌を好む作物であるが、近年基盤整備事業等による圃場整備によって、局所的に石灰岩や砕石等のアルカリ資材の混入が起こっている。それにより、従来酸性である国頭マージの土壌pHが上昇し、パインアップルの生育阻害(芯腐れ、アルカリ萎凋症)を引き起こしている。そこで、土壌pHを低下する効果を持つ資材の中で、安価なイオウを用いアルカリ障害の改善が可能か検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. イオウ施用後2週間では、障害土壌のpHを低下させられず、ECの上昇が見られた。正常な国頭マージでは、イオウ施用量を増加すると、pHが3以下になり、ECは上昇した(図1)。

  2. ポット試験では、障害園土壌にイオウを施用すると、1ヶ月後にはpHが4.0にまで低下し、2年間低い土壌pHを維持した。また、正常土壌に施用した場合にもpHの低下が見られた(図2)。

  3. 障害園無処理区では、パインアップルは正常に育たず、1果実のみの収穫となった。障害園イオウ施用区では、果実重も大きく、糖酸比の高い果実が収穫できた。しかし、正常土イオウ施用区では、正常土無処理区と比較し、果重が小さくなり、酸度が高くなった(表1)。

  4. 現地でイオウ施用を行ったところ、症状が改善された園は、20カ所中4カ所であった。pH7以上の障害園では、全く効果が見られなかったり、一時的に土壌pHが低下しても、効果が持続しなかった園地が多かった(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. pH7.0以上の障害園では、砕石等(主要因)を取り除いてイオウを施用することにより効果が向上する。

  2. 正常な国頭マージにイオウ施用すると、果実の小玉化がみられるため、土壌pHの高い土壌にのみ施用する。

[具体的データ]

図1 イオウ施用量別土壌pHおよびECの変化


図2 イオウ施用後の土壌pH(ポット試験)



表1 イオウ施用が果実に与える影響(ポット試験)


図3 イオウ施用後の土壌pHの推移(現地試験での代表例)

[その他]
研究課題名:パインアップル園におけるアルカリ土壌対策
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度


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