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促成トマトの養液土耕栽培による施肥量の削減


[要約]
促成トマト「ハウス桃太郎」の養液土耕栽培は、地力が中程度の圃場では、慣行施肥量(窒素26kg/10a)を50%程度まで削減でき、10t/10aの果実収量を得るための総かん水量の目安は160L/株である。また、その場合の畦土壌中の硝酸態窒素濃度は10mg/100g程度で推移する。

[キーワード]
トマト、養液土耕、施肥量、かん水、硝酸態窒素

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム、土壌・環境部・施肥高度化チーム

[連絡先]092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き、生産環境	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
果菜類において養液土耕栽培は、施肥量の削減およびかん水・施肥に要する労働時間を低減する技術として注目されている。しかし、促成トマトでは、養液土耕栽培の技術が確立されていないため導入が遅れている。
そこで、促成トマトにおいて養液土耕栽培技術を確立するために、施肥量、かん水量および好適な土壌中の硝酸態窒素濃度について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 促成トマト「ハウス桃太郎」は、中程度の地力の砂壌土で、全窒素濃度が0.17%、栽培期間中の土壌からの窒素供給量が約50kg/10aの圃場では、養液土耕栽培により慣行栽培の施肥量(窒素26kg/10a)を50%まで削減できる。その場合の1日当たりの窒素施用量の目安は、12〜4月が30mg/株/日、5、6月が45mg/株/日である(表1)。

  2. 養液土耕栽培において50%減肥した場合、12段採りで10a当たり果実収量10tを得るためのかん水量の目安は、12〜4月が650mL/株/日、5、6月が1,200mL/株/日、合計160L/株であり、かん水量を減らすと糖度は上がるものの、1果重、収量は減少する(表1)。

  3. 養液土耕栽培において50%減肥した場合の畦土壌中の硝酸態窒素濃度は、果実収穫開始時期(1月中旬)から10mg/100g程度で推移する(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 養液土耕栽培における施肥量は地力によって異なるので、生土容積抽出法や硝酸イオン試験紙を用いたリアルタイム診断によって土壌の硝酸態窒素を、生育初期は約2週間、果実収穫開始以降は約4週間毎に測定し、好適な硝酸態窒素濃度になるように施肥量を調整する。

  2. 養液土耕栽培において施肥量を削減するには、有機物による土づくりが必要である。

[具体的データ]

表1 養液土耕栽培における促成トマトの収量および品質(平成14年)


図1 窒素施用量と畦内土壌中の硝酸態窒素濃度の推移(平成14年)

[その他]
研究課題名:施設果菜類における施肥量削減技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度


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