パプリカの早熟栽培におけるオープンハウスの利用効果
- [要約]
- パプリカの早熟栽培では、オープンハウスの利用により夏季のハウス内の最高気温が摂氏5〜8度低下するため、種子数や着果数が増加し、果実品質が向上するとともに商品果収量も2割程度増加する。
- [キーワード]
- パプリカ、早熟栽培、オープンハウス、収量、品質、気温
- [担当]
- 福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム
[連絡先]092-922-4364
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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パプリカは健康機能性が高く、彩りの良い新規野菜として近年、国内での需要が伸びているが、国内では土耕栽培における低コスト技術の確立が遅れている。低コストな作型であるパプリカの早熟栽培では、夏季の高温によると考えられる収量や品質の低下が問題となっているので、屋根開放型のビニルハウス(オープンハウス)の利用効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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早熟栽培のパプリカにおいて、オープンハウスは、慣行ハウスに比べ、株当たりの着果数が多く、商品果収量は2割程増加する(表1)。
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9月以降の収穫果実の種子数はオープンハウスが3〜4倍程度多いため変形果の発生が少なくなりA品率、商品果率が向上し、9月以降の商品果収量はオープンハウスが慣行ハウスより3倍程度多くなる(表1、図1、図2)。
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初夏および盛夏季の日最高気温はオープンハウスが慣行ハウスより摂氏5〜8度程度低く、摂氏35度以上になることはない。また、日平均気温も5月中旬から9月上旬までオープンハウスが摂氏1〜2.5度低く摂氏30度を超える日はない(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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梅雨明けから10月上旬の晴天日は、日中の高温時にクールホワイト(遮光率45%)等で遮光(可動式)を行うとともに、土壌が乾燥しないようにかん水管理に気をつける。
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タバコガ、ヨトウムシ、カメムシ等の防除のため2〜4mm目合いの防虫ネットでハウス全体を覆う。
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オープンハウスでは天井ビニルを開放すると急激に湿度が低下し品種によってはひび果の発生が増えるので、畝間に籾殻等を敷き、乾燥時は畝間かん水で湿度を保つ。
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[具体的データ]
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表1 早熟栽培における施設の違いと収量および品質

図1 施設の違いと月別商品果収量(品種:フィエスタ)

図2 施設の違いと時期別果実の種子数

図3 施設内の旬別気温
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[その他]
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研究課題名:水田高度利用のための新規軽量野菜の収益安定生産技術の開発
予算区分 :助成試験(新技術実用化)
研究期間 :2001〜2002年
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