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イチゴ「さがほのか」の高設育苗ベンチによるモミガラ無仮植育苗法


[要約]
イチゴ「さがほのか」は、高設育苗ベンチにおいてモミガラを育苗培地とした無仮植育苗が可能で、親株を6月中旬に植え付けた場合には、子苗は15倍程度に増殖でき、育苗床への施肥によって苗質が向上する。

[キーワード]
果菜、イチゴ、さがほのか、モミガラ、ベンチ、無仮植育苗

[担当]
佐賀農業セ・栽培技術部・野菜研究室

[連絡先]0952-45-2141	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
イチゴ品種「さがほのか」は「とよのか」等と比べて、採苗時期による花芽分化への影響は少なく、生育の揃いも良いことから晩期採苗が可能である。
この特性を活かした二段階採苗(九州農業研究成果情報第15号下巻に記載)によって育苗の効率化と省力化に努めているが、さらに育苗の省力化と経費削減、土壌病害からの回避ができる育苗方法として、高設育苗ベンチ上にモミガラを培地とし、ランナーを配置して定植時に切り離す無仮植育苗について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ育苗用の高設ベンチ上に透水性のシートを敷き、モミガラを10cm程度の厚さに敷き詰めて育苗床を作成し、そこにランナーを配置することで無仮植育苗ができる(図1)。

  2. 親株を6月中旬に植え付けると、9月中旬には15株程度の子苗が確保でき、栽培株10a分で約250m2の育苗ベンチが必要である(表1)。

  3. 定植期の無仮植苗は、通常のポット苗に比べて生育は小ぶりであるが、花芽分化が早く、モミガラ育苗床へ施肥することで子苗の生育が向上する(表2)。

  4. モミガラ育苗床に施肥した無仮植苗は、頂花房の収穫開始期が早く、株間に生育のバラツキがあるものの、年内に第1次腋花房を収穫する株もあり、全期間の収量は通常のポット苗と同程度となる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 親株床と育苗床では乾湿の具合が異なるため、かん水は個別に行えるよう整備する。

  2. 親株には適宜追肥を行う。

  3. 子苗は相互に込み合わないように、時々配置してピンなどで固定する。

  4. 育苗期間は、高温・多雨を回避するために雨よけ・遮光が望ましく、定植後も無仮植苗はポット苗に比べてしおれやすいため、活着までは寒冷紗等を被覆する必要がある。

[具体的データ]

図1 高設ベンチによるモミガラを用いた育苗床


表1 モミガラ育苗床への施肥の有無と子苗数の推移(2002年)


表2 無仮植育苗における育苗床への施肥の有無と定植時の苗質(2002年)


表3 無仮植育苗における育苗床への施肥の有無と各花房の収穫開始期および収量(2002〜2003年)

[その他]
研究課題名:イチゴの新品種「さがほのか」の特性を活かした育苗法の開発と新栽培管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度


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