コマツナの養液栽培における硝酸の低減
- [要約]
- コマツナの養液栽培において、生育初期をNaClを添加した大塚ハウスA処方培養液で、生育後期(収穫前1週間)を窒素成分を除いた1/2園試処方培養液で栽培することにより、葉身および葉柄中の硝酸含量を慣行栽培の5〜25%に低減させることができる。
- [キーワード]
- コマツナ、養液栽培、NaCl、窒素成分、硝酸低減
- [担当]
- 佐賀農業セ・三瀬分場・山間畑作研究室
[連絡先]0952-56-2040
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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コマツナの養液栽培において、NaClを培養液に添加すると、葉色、日持ち性、内容成分、食味等の品質が向上することを明らかにした(2001年度成果情報)。しかし、コマツナ等の葉菜類は健康に有害な成分の一つである硝酸を比較的多く含んでいる。そこで、NaCl添加栽培技術を基本とした硝酸の低減化技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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生育初期をNaClを添加した大塚ハウスA処方培養液で、生育後期(収穫前1週間)を窒素成分を除いた1/2園試処方培養液で栽培したコマツナは、生育後期においても草丈、調整重ともに正常であり、葉色の低下も認められない(表1)。
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コマツナ葉身中の硝酸含量は、培養液を交換しなかった対照区では、常に650〜800mg/100gFWで推移する。一方、培養液を交換した区では、徐々に減少し、交換4日後に約450mg/100gFW、収穫時には約25mg/100gFWにまで減少する(図1)。
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硝酸が集積しやすい葉柄中の硝酸含量も、葉身と同様に推移し、培養液交換前に1300mg/100gFWあった硝酸含量が、収穫時には300mg/100gFWにまで減少する(図2)。
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コマツナ葉身中の“旨み”に関わるアミノ酸含量は培養液交換2日後にやや低下するが、その後の変動は認められない。ビタミンC含量は、培養液交換後もほぼ同濃度で推移する(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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生育初期の培養液に添加するNaCl濃度は0.2〜0.4%とする。
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NaClはコマツナ定植時に添加する。なお、NaCl添加によりECはNaCl0.2%の場合で3.5dS/m程度上昇するので、定植後はNaCl添加時のECを基準に標準液で調整しながら栽培する。
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[具体的データ]
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表1 生育後期(培養液交換後)のコマツナの生育様相

図1 生育後期におけるコマツナ葉身中の硝酸含量

図2 生育後期におけるコマツナ葉柄中の硝酸含量

表2 生育後期における内容成分含量(mg/100gFW)
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[その他]
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研究課題名:中山間地における地域資源を活用した高付加価値園芸作物の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度
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