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簡易隔離床における灌水同時施肥を利用した高糖度トマト栽培


[要約]
簡易隔離床を利用した高品質、高糖度トマト栽培において、品種は「桃太郎8」が糖度は高く安定し収量性に優れる。ベッド幅は30cm、着果個数は中段〜上段果房(7〜15段)を3果に制限することで商品果収量は増加し糖度は安定する。また、施肥は微量要素を多く含んだ園試処方0.6単位の潅水同時施肥が収量性に優れ尻腐れ果は減少する。

[キーワード]
隔離床、トマト、高糖度、尻腐れ果

[担当]
熊本農研セ・い業研・作付体系研究室

[連絡先]0965-52-7996	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
隔離床を利用した高糖度トマト栽培では尻腐れ果の発生が問題となっている。灌水同時施肥法は一定濃度の液肥を安定供給できるため、トマトの生育安定および尻腐れ果等の生理障害の軽減が期待される。このため、簡易隔離床における潅水同時施肥を利用した高品質トマトの栽培法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 灌水同時施肥では「桃太郎8」が糖度が高位に安定し商品果収量は多い(表1図1)。

  2. ベッド幅は60cmに比べ30cmは商品果収量、1果重、尻腐れ果の発生で若干劣ったが、果実糖度は高く、高糖度トマト栽培には30cmが適当である(表2)。

  3. 中段〜上段(7〜15段)3果の着果制限により商品果収量、1果重は増加し糖度は高い(表3)。

  4. 液肥濃度が高いほど商品果収量は少なく1果重も小さくなるが糖度は高くなる。糖度は施肥量が同等である潅水同時施肥の1000倍と園試処方0.6単位が同等でBrix7〜8で推移する。園試処方0.6単位は1000倍に比べ収量、1果重に優れ、尻腐れ果の発生も少ない(表4図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 尻腐れ果対策として蒸散量を低下させるため日中のハウス内温度は土耕栽培より低く管理する。

  2. 土壌の団粒化、保水力の向上を目的に毎年、粉砕ヤシガラを500リットル/10a程度追加投入する。

  3. 隔離床内への病原菌の飛び込みを防止し、ハウス内湿度を低下させるため通路を含め全面マルチを行うのが望ましい。

[具体的データ]

表1 品種が収量及び品質に及ぼす影響


表2 ベッド幅の違いが収量及び品質に及ぼす影響


図1 品種別糖度の経時別変化


表3 着果数の違いが収量及び品質に及ぼす影響


表4 施肥形態の違いが収量及び品質に及ぼす影響


図2 養液濃度及び組成の違いが果実糖度に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:簡易隔離床利用による高品質トマト栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年度


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