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夏秋ギク「岩の白扇」の奇形花発生に及ぼす高温条件と防止技術


[要約]
夏秋ギク「岩の白扇」の9月出し栽培で発生する奇形花は、電照期間中の高温が原因である。奇形花の発生は、電照期間中の生育温度が摂氏35/25度(昼/夜温)以上となると多発するが、遮光率50%の資材を使用し、電照打ち切り前の20日間を遮光することで軽減できる。

[キーワード]
夏秋ギク、奇形花、高温、電照期間、遮光

[担当]
福岡農総試・花き部・花き栽培チーム

[連絡先]092-922-4958	
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
夏秋ギク「岩の白扇」の施設栽培は、日長処理によって6月から9月までの4ヵ月間に及ぶ切り花生産が行われている。本品種は6月から8月出しまでは問題なく栽培することができるが、9月出し栽培では蕾が楕円形に発達し、奇形花(図1)が多発するため、生産上の大きな問題となっている。そこで、この奇形花発生におよぼす高温の遭遇時期や温度条件を明らかにし、遮光処理による奇形花防止技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 夏秋ギク「岩の白扇」の奇形花は、電照期間中の高温により発生し、電照打ち切り後の高温の影響は少ない(図2)。

  2. 奇形花発生は、電照期間中の昼温および夜温に影響され、昼/夜温が摂氏35/25度以上になると増加する。しかし、夜温が摂氏25度と高くても、昼温が摂氏30度までであれば奇形花の発生割合は低い(図3)。

  3. 「岩の白扇」の9月出し栽培では、電照打ち切り前の20日間を遮光率50%の資材で遮光することにより、奇形花の発生を軽減できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「岩の白扇」の奇形花の発生は、親株での高温遭遇や挿し穂の老化によっても多くなることから、9月出し栽培用の親株は更新し、高温期は遮光するなど、できるだけ涼しい環境で管理する。

[具体的データ]

図1 「岩の白扇」で発生する奇形花


図2 生育期間中の昼夜温と奇形花との関係(平成13年)


図3 電照期間中の昼夜温と奇形花との関係(平成13年)


表1 電照期間中の遮光処理の有無と奇形花(平成14年)

[その他]
研究課題名:電照栽培用キク品種の選定と生育特性の解明
予算区分 :経常
研究期間 :2001〜2002年度


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