メロンの隔離床栽培における適正施肥量
- [要約]
- 長崎型イチゴ高設栽培システムを用いたメロン栽培における基肥施肥量は株当たりN成分9gで体内窒素濃度が生育後期まで安定し、ネットの美しい、高糖度の果実が得られる。また、環境保全の観点からも基肥施肥量は株当たりN成分9gが適する。
- [キーワード]
- メロン、隔離床、施肥量
- [担当]
- 長崎総農林試・野菜花き部・野菜科
[連絡先]0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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長崎県における既存のイチゴ高設システムの栽培槽を用いたメロン栽培は、土づくりが不要で、肥培管理、水分コントロールなどの栽培管理等を適切に行うことにより、高品質・安定生産が可能である。これまで水分コントロールについて明らかにしてきたが、ここでは、適正施肥量について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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葉柄中の硝酸イオン濃度は、基肥を株当たりN成分9g以上にすることによって、メロンの養分吸収が最も盛んになる果実肥大期(開花〜開花後30日)に最も高く推移し、葉色も健全に推移する(図1、図2)。
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ネットの発現は基肥が株当たりN成分7〜9gで最も良く、N成分12gでは若干縦ネットが強く、果形が乱れる傾向にある(図3)。
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糖度は株当たりN成分9g以上で安定し、これより少ないと低下する(表1)。
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生育後期における廃液濃度は、株当たりN成分12gで他の区と比較して高めに推移する(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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かん水はドリップ式のチューブなどで均一に行う。
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隔離床では施設内が乾燥しやすいため、果実肥大期(開花後約30日間)には通路への散水等を行い夜間〜午前中の空中湿度を高める必要がある。
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培養土はイチゴ専用培土(薩摩土65%、やしピート25%、バーク堆肥10%)を利用する。
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[具体的データ]
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図1 葉柄中の硝酸濃度の推移

図2 開花30日後の葉色の比較

図3 N施用量の違いと処理区におけるネット発現

表1 収穫時における果実の品質

図4 生育後期における廃液濃度

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[その他]
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研究課題名:施設野菜の次世代型栽培技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年
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