諫早湾干拓地の初期営農における露地野菜(根菜・いも類)の栽培適応性
- [要約]
- 諫早湾干拓地の初期営農において秋冬ダイコン、冬ニンジン、春作マルチバレイショは収量、品質の点から栽培適応性が高く、秋作バレイショはある。
- [キーワード]
- 諫早湾干拓地、露地野菜、ダイコン、ニンジン、ジャガイモ、栽培適応性
- [担当]
- 長崎総農林試・企画経営部・干拓科
[連絡先]0957-35-1272
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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造成直後の諫早湾干拓地は、塩分濃度が高く排水性の劣る細粒土壌で、熟畑化の過程にある。そこで初期営農を想定し、排水対策や緑肥作物のほ場還元による熟畑化対策を行い干拓営農品目である根菜・いも類の栽培適応性について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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秋冬ダイコン、冬ニンジン、春作マルチバレイショの総収量は県基準技術目標収量(以下、目標収量)より総じて高く、いずれの品目でも商品化率は県基準と概ね同等である(表1、図1)。
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冬ニンジンはL・M、春作マルチバレイショはL以上の階級の割合が多い(表1)。
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冬ニンジンの糖度並びに春作マルチバレイショの澱粉価は高く、品質も良い(表1)。
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高pH土壌でのバレイショ連作ほ場でのそうか病の発生は2%前後で低い(表2)。
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秋作バレイショは、01年、02年ともに280s/a以上の県基準収量並の総収量が得られ適応性はある(表1、図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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初期営農の作物選定における基礎資料として活用できる。
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秋作バレイショは、出芽前の高温や収穫前の初霜の影響を受け易く、年次や植付期によっては収量のバラツキがある。
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干拓地の初期営農においては、緑肥による有機物のほ場還元や営農排水対策は特に万全を期す必要がある。
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[具体的データ]
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表1 干拓地における総収量、階級別割合等

図1 干拓地における各品目別総収量比と商品化率

表2 バレイショ連作ほ場における土壌pHとそうか病の発生率(個数%)の推移
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[その他]
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研究課題名:諫早湾干拓営農対策試験・営農対策試験
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜
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