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バラの隔離床栽培における被覆肥料利用による窒素排出量の削減


[要約]
杉皮を培地とした隔離床で数種の被覆肥料を組み合わせた施肥体系でバラをかん水栽培すると、養液かけ流し方式に比べ窒素排出量を約40%削減できる。

[キーワード]
バラ、被覆肥料、隔離床栽培、窒素排出量

[担当]
大分温熱花研・研究指導部

[連絡先]0977-66-4706	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
バラの養液栽培はほとんどがかけ流し方式で、給液量の30%以上が廃棄されるため、周辺環境への影響が懸念されている。一方、養液循環方式では養分の過不足や病原菌の蔓延などが心配される。そこで、ロックウール代替培地として注目されている杉皮を培地とした隔離床栽培で、窒素排出量を削減する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 被覆肥料を施用した隔離床栽培のかん水量に対する排液率は、定植直後から養液かけ流し方式と同程度で推移するが、定植1年後からやや低くなり、15ヶ月間の総排液量は養液かけ流し方式に比べ少なくなる(図1)。

  2. 被覆肥料を施用した隔離床栽培の排液中窒素濃度は、定植直後は一時的に高くなり、その後かなり低く推移し、1年後から養液かけ流し方式と同程度になる(図2)。

  3. 被覆燐硝安加里180日タイプ、被覆硝酸石灰140日タイプ、被覆硫酸加里180日タイプの肥料を組み合わせて施用する隔離床栽培は、養液かけ流し方式に比べ15ヶ月間の窒素排出量が38%減少する(図3)。当栽培法による被覆肥料の年間施肥量(現物g/株)は被覆燐硝安加里25g、被覆硝酸石灰50g、被覆硫酸加里30gである。

  4. 被覆肥料を施用した隔離床栽培の切り花本数、切り花形質は、養液かけ流し方式に比べほぼ同等程度である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 施肥は3種類の被覆肥料を混合して定植時に植穴施用し、以後3ヶ月毎に被覆硝酸石灰を、6ヶ月毎に被覆燐硝安加里と被覆硫酸加里を施用する。かん水は点滴チューブで1日当たり200〜500ml/株行う。

  2. リン酸資材、石灰・苦土質資材を年1〜2回程度施用する。

  3. 微量要素が不足するときは補給する。

[具体的データ]

図1 排液率の変化


図2 排液中窒素濃度の変化


図3 排液による窒素排出量


表1 切り花本数と切り花形質

[その他]
研究課題名:バラの新養液栽培システムの確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度


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