露地電照栽培に適した秋小ギクの新品種「沖の乙女」
- [要約]
- 露地電照栽培に適した秋小ギクの新品種「沖の乙女」を育成した。花色は濃い赤紫色で優れる。開花揃いは良く、一斉収穫が可能である。水揚げ、花持ちも良い。葉は濃緑色の照り葉で、葉質は良い。
- [キーワード]
- 小ギク、新品種、沖の乙女
- [担当]
- 沖縄農試・園芸支場・花き育種研究室
[連絡先]098-973-5530
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 本県の小ギク生産は、冬春季の温暖な気象条件を生かして拡大され、全国一のシェアを占めるほどに進展してきた。しかし、品種は県外の種苗会社で育成されたものが多く、パテントの負担や単価の低迷などにより農家経営は厳しさを増している。また、現在普及している赤系小ギク品種「芳香」は水揚げや苗増殖が劣り、これに代わる品種が求められている。今後、国内外の産地間競争が激しくなることが予想され、産地の強化のために、オリジナル品種の育成は重要である。
そこで、既存品種より生育旺盛で生産性が高く、消費者ニーズに対応した沖縄適応の小ギク品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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新品種「沖の乙女」は、平成11年に園芸支場において、赤系の小ギク「OHB96-5-60」の自然交雑実生集団の中から選抜されたものである。平成12〜13年に系統選抜試験、平成14年に現地適応性検定試験を実施して育成された。
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到花日数は、年末出荷型で約49日、彼岸出荷型で約53日となり、標準品種の「沖の白波」より短く、「芳香」よりはやや短い(表1)。
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花色は濃い赤紫で市場評価は高い。草姿は小ギクタイプであるが、花はやや大きい(表1)。
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開花揃いは優れ、一斉収穫が可能である(表2)。
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赤系小ギクの「芳香」に比べて伸長性は優れる。水揚げ、花持ちも良い(表1、表2)。
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葉は濃緑色の照り葉で、葉質は良い(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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沖縄県の冬春期(年末〜4月)の露地電照栽培に適する。
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再電照してボリュウムをつけることが望ましい。
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[具体的データ]
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表1 新品種「沖の乙女」の開花時の特性

表2 新品種「沖の乙女」の切り花の規格別割合・収量及び評価

表3 新品種「沖の乙女」の開花時の特性(現地試験)
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[その他]
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研究課題名:キクの品種育成
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2003年度
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