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玉露園の点滴施肥による窒素施用量の低減


[要約]
玉露園において、樹冠下に点滴施肥すると窒素施用量を53kg/10aに低減しても、慣行肥料で73kg/10a施用した場合より増収し、収量性が同レベルであれば品質は維持される。

[キーワード]
チャ、玉露園、点滴施肥、増収、品質

[担当]
福岡農総試・八女分場・茶チーム

[連絡先]0943-42-0292	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
茶栽培において、過剰施肥による窒素溶脱等の環境負荷が懸念されており、環境基準に適応した施肥体系の確立が急務となっている。
そこで、玉露園(自然仕立て)において点滴施肥を行い、窒素施用量を低減した効率的施肥管理を実証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 玉露園において、樹冠下に点滴施肥すると、窒素施用量を53kg/10aに低減しても、慣行施肥(うね間表層に化学肥料等を施用。窒素施用量73kg/10a:福岡県における平成11年までの施肥基準量)に比べ増収する(表1)。

  2. 荒茶品質のうち、官能評価は摘採遅れによる多収年(2001年)を除きほぼ同等であり、荒茶中全窒素含有率もほぼ同等である。生育ステージを揃えた五葉芽中の全窒素含有率は点滴施肥が高い傾向を示しており、適期摘採した場合の官能評価は同等以上を示すと推定される(表2)。

  3. 点滴施肥の土壌中無機態窒素量は、うね間中央部で慣行施肥に比べて低い値で推移する。点滴施肥部位にあたる樹冠下でも慣行施肥より低く推移する(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 茶園における環境にやさしい施肥技術として活用できる。

  2. 点滴施肥は生育が進む場合もあるので、摘採適期に留意する。

  3. 試験園と同様の施設の場合、資材費は、点滴チューブ、配管、コネクタ、バルブ、フィルターで、約18万円/10a(定価ベース)である。

[具体的データ]

表1 施肥法の違いと生葉収量(kg/10a)


表2 施肥法の違いと品質


図1 施肥法の違いと土壌中(深さ0〜20cm)無機態窒素量の時期別推移

[その他]
研究課題名:樹冠下点滴施肥技術を活用した窒素施用量の大幅削減
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度


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