煎茶園の点滴施肥による収量、品質向上と環境負荷低減効果
- [要約]
- 煎茶園において窒素50kg/10aを樹冠下に点滴施肥すると、慣行施肥より一、二番茶の収量が2割程度多くなり、品質も向上する。また、点滴施肥を2〜3年継続すると、土壌浸透水中の硝酸性窒素濃度は10ppm以下となる。
- [キーワード]
- チャ、煎茶園、点滴施肥、収量、品質、硝酸性窒素濃度
- [担当]
- 福岡農総試・八女分場・茶チーム
[連絡先]0943-42-0292
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 茶栽培において、過剰施肥による窒素溶脱等の環境負荷が懸念されており、環境基準に適応した施肥体系の確立が急務となっている。
そこで、煎茶園において樹冠下に点滴施肥を行い、収量、品質及び環境に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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煎茶園において、樹冠下に窒素50kg/10aを点滴施肥すると、一、二番茶ともに慣行施肥(窒素53kg/10a)に比べ2割程度増収する(表1)。
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点滴施肥すると、一、二番茶ともに品質が向上する(表2)。
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土壌浸透水中の硝酸性窒素濃度は、黒ボク土茶園では点滴施肥開始2年で、赤黄色土茶園では3年で10ppm以下となり、慣行施肥に比べ環境負荷が低減される(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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茶園における環境にやさしい施肥技術として活用できる。
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試験園と同様の施設の場合、資材費は、点滴チューブ、配管、コネクタ、バルブ、フィルターで、約18万円/10a(定価ベース)である。この他、液肥混入機(5万円程度)が必要である。
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[具体的データ]
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表1 施肥法の違いと生葉収量(kg/10a)

表2 施肥法の違いと荒茶品質

表3 土壌浸透水中の年間平均硝酸性窒素濃度の変化(ppm)
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[その他]
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研究課題名:樹冠下点滴施肥技術を活用した窒素施用量の大幅削減
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度
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