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茶園用乗用型深層施肥機による窒素低投入型施肥法


[要約]
乗用型深層施肥機により、夏、秋肥に有機入り液状複合肥料をうね間の深さ15cmの位置に深層施肥することで、年間50kg施用でも約80kg/10a施用の多肥茶園とほぼ同等の収量、品質が得られる。

[キーワード]
チャ、環境保全、深層施肥、液状複合肥料

[担当]
鹿児島茶試・環境研究室

[連絡先]0993-83-2811	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
これまで、茶園のうね間深さ25cm位置へ有機入り液状複合肥料を深層施肥すると表層施肥に比べて窒素溶脱量は減少することを明らかにした(九州農業研究成果情報第12号下巻)。また、深層施肥の省力化を図るため、茶園用乗用型深層施肥機をM社と共同開発し、本機はうね間の深さ30cmまで筋条に深層施肥することが可能で、作業能率が高く、施肥に伴う断根も少ないことを明らかにした(九州農業研究成果情報第14号下巻)。そこで、乗用型深層施肥機を利用した省力・低投入型施肥法を現地ほ場において実証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 多肥茶園において、年間窒素施肥量50kg/10aを春は表層施肥、夏、秋は深層施肥で施用した場合、約80kg/10a施用した多肥茶園とほぼ同等の生葉収量が得られる(図1)。

  2. 品質は減肥開始3年目以降、約80kg/10a施用した多肥茶園とほぼ同等となる(表1)。

  3. 乗用型深層施肥機により深さ30cmまで施肥すると35cm程度の溝ができ、窒素溶脱量が増える場合があるので、深さは15cmとする(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 乗用型深層施肥機は、作業時間が20分/10aと作業能率が高く、施肥作業の省力化が図れる。

  2. 現地試験の年間窒素施肥量及び施肥回数の推移は表3のとおりである。

  3. 茶園用乗用型深層施肥機は乗用型茶園中切機に着脱可能なアタッチメントを装着する方式で、アタッチメントの価格は約85万円である。

[具体的データ]

図1 生茶収量


表1 荒茶品質(官能審査評点差)


表2 年間深層施肥40kg/10aの窒素溶脱量(指数)


表3 年次別窒素施肥量及び施肥回数

[その他]
研究課題名:硝酸態窒素の環境基準化に即した茶生産システム
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1997〜2003年度


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