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クワシロカイガラムシを対象とした乗用型防除機の薬液付着特性


[要約]
クワシロカイガラムシ防除を乗用型防除機により行う場合、枝幹部への高い付着程度を示す10アール当たりの散布量は、ダニ用ノズルを使用した高樹高園では1000リットル、低樹高園では500リットル、中切り園では、ダニ用ノズルで400リットル、一般防除用(45度)ノズルで500リットルである。

[キーワード]
チャ、クワシロカイガラムシ、乗用型防除機、ダニ用ノズル、付着

[担当]
長崎総農試・東彼杵茶業支場

[連絡先]0957-46-0033	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
クワシロカイガラムシは、チャの樹冠内の枝幹部に寄生するため、散布された薬液が虫体に届きにくく防除の困難な害虫となっている。クワシロカイガラムシを効率的に防除するためには、幼虫ふ化盛期後の防除適期を把握したうえで、樹冠内部の枝に薬剤を付着させる必要がある。
そこで、散布薬液のチャの樹冠内枝条への付着状況を調査し、乗用型防除機によるクワシロカイガラムシ防除に適した散布ノズル、散布量を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 乗用型防除機を用いた薬剤散布の樹冠内枝条への薬液付着は、茶樹の樹高によって異なり、樹高が高く葉層が厚い場合に薬液付着量が低下する傾向を示す。茶うねの上面と両側面から同時に薬剤を散布するダニ用ノズル(O社製)が、茶うね3条を同時に処理する一般防除用ノズル(O社製)よりも高い付着程度を示す(表1)。

  2. ダニ用ノズルは、中切り後の茶園で10a当たり400リットルの処理で付着程度「4」と高い。樹高が低い(65cm)茶園では、500リットルの散布で付着程度「4」と高いが、樹高が高い場合にはダニ用ノズルで1000リットルの処理を行う必要がある(表1)。

  3. 中切り直後の茶園では、一般防除用ノズルで500リットルの処理で付着程度「4」と高いが、散布角度が水平に近い45度の処理が60度の処理よりも付着程度が高くなる傾向がみられる。葉層がある茶園で一般防除用ノズルを用いた場合には、散布角度にかかわらず、薬液の付着程度は「1」〜「2」と低い(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 乗用型防除機でのクワシロカイガラムシ防除で、茶樹の樹高や葉層により散布ノズルの選定と散布量を判断する資料として利用できる。

  2. O社製乗用型防除機と同社製ダニ用ノズルを使用した試験であり、防除機の種類やノズルの形状により薬液付着特性が異なる可能性がある。

[具体的データ]

表1 薬液付着程度

[その他]
研究課題名:茶害虫クワシロカイガラムシの環境保全型防除技術の実用化
予算区分 :国庫(地域新技術)
研究期間 :2002〜2003年度


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