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三番茶不摘採を前提とした窒素低投入茶園における二番茶摘採後の整せん枝法


[要約]
被覆尿素肥料を用いて年間窒素施肥量を60kgN/10aから45kgN/10aに減肥した場合は、二番茶摘採後に浅刈り処理あるいは三番茶摘採位置での整枝を、さらに30kgN/10aまで減肥した場合は二番茶摘採後に浅刈り処理を行うと、標準施肥とほぼ同等の生葉収量および製茶品質が得られる。

[キーワード]
チャ、減肥、窒素低投入、整せん枝、被覆尿素、浅刈り

[担当]
熊本農研セ・茶業研究所

[連絡先]096-282-6851	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
茶園からの窒素負荷低減を図るためには窒素投入量を削減する必要があるが、減肥に伴う減収および品質低下を防ぐには、施肥窒素利用率を向上させるための新たな栽培体系を確立する必要がある。そこで、二番茶摘採後の枝条管理に着目し、三番茶不摘採を前提とした窒素低投入条件で、標準施肥と同等の生葉収量及び製茶品質を得られる整せん枝技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 年間窒素施肥量60kgN/10aから45kg/10aへ減肥した場合、二番茶摘採後に浅刈り処理あるいは三番茶芽を二番茶摘採位置から2〜3cm上げて整枝する(表1図1図2図3図4図5:通常整枝と表記)と翌年の一、二番茶の生葉収量は60kgN/10aと同等である(図2)。さらに年間窒素施肥量を30kgN/10aに減肥すると、三番茶芽を二番茶摘採位置から2〜3cm上げて整枝しても60kgN/10a施用より一、二番茶とも減収するが、二番茶摘採後に浅刈り処理すると生葉収量はほぼ同等である(図3)。

  2. 茶葉中の全窒素、中性デタージェント繊維量は減肥しても一、二番茶とも年間窒素施肥量60kg/10aと顕著な差はみられず、NF値(葉中全窒素/中性デタージェント繊維)もほぼ同等である(図4)。

  3. 官能審査における香気、滋味の評価では、いずれの整せん枝処理を用いても減肥による影響はみられない(図5)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験の浅刈り処理は二番茶摘採位置から7cm下げて行った。

  2. 減肥試験区では夏肥に被覆尿素リニア70日タイプと100日タイプを、秋肥にリニア70日タイプを施用した。

  3. 年間窒素施肥量30kg/10aはいずれの整せん枝処理も減肥開始2年目まで60kg/10a施用よりやや減収する傾向がみられる。

  4. 整せん枝の時期および位置は、地域の気象、茶園の樹勢を考慮して調整する必要がある。

[具体的データ]

表1 摘採および整せん枝位置(cm)


図1 二番茶摘採後の整せん枝位置の模式図


図2 年間窒素施肥量45kgN/10aの生葉収量


図3 年間窒素施肥量30kg/10aの生葉収量


図4 茶葉中のNF値(4カ年平均)


図5 官能審査結果(4カ年平均)

[その他]
研究課題名:硝酸態窒素の環境基準化に即した茶生産システムの構築
予算区分 :国庫補助(地域基幹研究)
研究期間 :2000〜2003年度


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