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宮崎県の茶園におけるクワシロカイガラムシの天敵類の発生実態


[要約]
宮崎県の茶園におけるクワシロカイガラムシの主要な天敵は、複数種のタマバエ類、チビトビコバチ、ナナセツトビコバチ、ベルレーゼコバチ、ヒメアカボシテントウで、優占種は、慣行防除園では複数種のタマバエ類、無防除園ではベルレーゼコバチである。

[キーワード]
チャ、クワシロカイガラムシ、天敵、優占種

[担当]
宮崎総農試・茶業支場・栽培科

[連絡先]0983-27-0355	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
クワシロカイガラムシには多様な天敵が知られており、クワシロカイガラムシの密度抑制要因として有効に働いているが、これまで宮崎県の茶園における天敵相については詳細な調査は行われていない。そこで、粘着トラップや天敵の羽化トラップ調査およびたたき落とし法により、慣行防除園と無防除園における天敵相について調査し、主要な天敵の種類や発生動態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 宮崎県の茶園におけるクワシロカイガラムシの主要な天敵は、複数種のタマバエ類、チビトビコバチ、ナナセツトビコバチ、ベルレーゼコバチ、ヒメアカボシテントウであり、優占種は、慣行防除園では複数種のタマバエ類、無防除園ではベルレーゼコバチである(表1)。

  2. クワシロカイガラムシの発生量(雄成虫の捕獲数)に対する天敵類の捕獲数の割合は、慣行防除園では8.1%(2002年)と2.1%(2003年)で低いが、無防除園では51.4%(2002年)と43.5%(2003年)と高くなる傾向を示す(表1)。

  3. 慣行防除園では、春期〜秋期にかけてタマバエ類が多く捕獲されるが、年によっては秋期にチビトビコバチが多く捕獲される(図1)。

  4. 有力な捕食性天敵とみられるヒメアカボシテントウの密度は、慣行防除園よりも無防除園で多く、4月から発生がみられ5月下旬〜6月上旬に最大となり、10月下旬に終息する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 今回確認された天敵類に影響が小さい農薬を選定することで、天敵類を保護できる。

  2. 今回の調査は、宮崎県総合農業試験場茶業支場のデータであり、他の地域については別途調査する必要がある。

[具体的データ]

表1 粘着トラップに捕獲されたクワシロカイガラムシの天敵類(トラップ1カ所当たり)


図1 慣行防除園における粘着トラップによるクワシロカイガラムシの捕獲数の推移と羽化トラップ調査による天敵類の種構成


図2 たたき落としヒメアカボシテントウの密度推移(10カ所当たり)

[その他]
研究課題名:茶害虫クワシロカイガラムシの環境保全型防除技術の実用化
予算区分 :助成試験(地域実用化)
研究期間 :2002〜2003年度


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