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生産者の皮膚かぶれを回避するためのカンキツそうか病の防除法


[要約]
カンキツそうか病の防除においてジチアノンフロアブルの散布が最も有効であるが、皮膚かぶれを生じる一部の生産者はクレソキシムメチルドライフロアブルを用いることで回避できる。単用の場合は2,000倍で散布する必要があるが、ミカンハダニ対象にマシン油乳剤200倍を加用すると3,000倍でも同等の効果が得られコスト低減が可能である。

[キーワード]
カンキツ、温州ミカン、そうか病、薬剤防除、かぶれ防止

[担当]
佐賀果樹試・病害虫研、長崎果樹試・病害虫科、大分柑試・研究部、宮崎農試・害虫科

[連絡先]0952-73-2275(佐賀)    
[区分]九州沖縄農業・病害虫    
[分類]技術・普及      

[背景・ねらい]
カンキツそうか病の展葉初期の防除は、ジチアノンフロアブルが広く利用されているが、体質によっては皮膚のかぶれを生じることがある。そこで、皮膚かぶれを生じる生産者における代替防除法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ジチアノンフロアブルにかぶれる生産者の代替剤として、単用ではクレソキシムメチルドライフロアブル2,000倍が有効である。ただし、ジチアノンフロアブルの1.4倍の経費を要する(表1)。他の既登録薬剤では効果が劣る(データ略)。

  2. クレソキシムメチルドライフロアブルを用いた場合の経費節減対策として、ミカンハダニ対象にマシン油乳剤200倍を混用する場合は、クレソキシムメチルドライフロアブルの濃度を3,000倍まで低下させても実用上十分な効果が得られる。マシン油乳剤の経費をあわせてもジチアノンフロアブル単用に対して1.3倍の経費ですむ。ただし、4,000倍まで濃度を低下させると十分な防除効果は得られない(表1)。

  3. クレソキシムメチルドライフロアブルの使用濃度については、表2に示すとおりマシン油乳剤200倍の加用の有無で決定する。なお、かぶれにくい生産者は、従来どおり高い防除効果が得られるジチアノンフロアブルを用いる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ジチアノンフロアブルに対して皮膚かぶれを生じる生産者に対して推奨できる防除方法である。

  2. マシン油乳剤を200倍で混用した場合にクレソキシムメチルドライフロアブル3,000倍の防除効果が向上するが、マシン油乳剤400倍加用では単用と変わらない。

[具体的データ]

表1 カンキツそうか病に対するクレソキシムメチルドライフロアブルの防除効果(2002年)1)


表2 カンキツそうか病に対するかぶれを生じる生産者を考慮した展葉初期の防除メニュー

[その他]
研究課題名:低毒性農薬の探索に関する試験
予算区分 :委託(九防協)
研究期間 :2001年〜2002年


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