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促成栽培トマトにおけるTYLCVの低温期感染による潜伏期間の長期化


[要約]
促成栽培トマトにおいて、黄化葉巻病の病原ウイルス、Tomato yellowl eaf curl virus(TYLCV)は低温期に感染すると、温暖期より潜伏期間が長期化し、その後の気温の上昇とともに病徴を発現する。
[キーワード]
トマト、黄化葉巻病、TYLCV、病徴、低温期、潜伏期間、長期化
[担当]
長崎総農林試・環境部・病害虫科

[連絡先]0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
トマト黄化葉巻病の病原ウイルス、Tomato yellowl eaf curl virus(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって媒介され、感染したトマトは新葉が黄化、萎縮して生長が止まり、着果不良になるため、長期間栽培を行う促成栽培で大きな被害を与える。また、この促成栽培での本病の発生消長において、年明けの2〜3月頃から、媒介虫の発生がほとんど認められないにもかかわらず、発病株が次第に増加する事象が多く認められている(図1)。
そこで、TYLCVの感染時期と病徴の発現時期との関係を明らかにし、本病の防除対策に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 促成栽培トマトにおいて、TYLCVの定植直後(10月9日、接種期間中の平均気温摂氏21.9度)の虫媒接種(接種期間3日間)では、接種15日後までにほとんどの株で発病が認められ、その後は増加しない(図2)。

  2. 定植40日後(11月20日、同摂氏14.0度)の接種においては、接種49日後より発病が認められ始め、その後5ヶ月後まで漸増する(図2)。

  3. 定植100日後(翌年1月20日、同摂氏10.6度)の接種においては、発病した株のほとんどが約3ヶ月後に病徴を発現する(図2)。

  4. TYLCVは、低温期に感染すると温暖期に比べて潜伏期間が長期化し、その後の気温の上昇とともに病徴を発現する(図2図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. TYLCVの潜伏期間の差には、感染時のトマトの生育ステージ等、他の要素も関与すると考えられる。

[具体的データ]

図1 トマト黄化葉巻病の年間発生消長(大村市)


図2 接種時期の違いによるトマト黄化葉巻病の発生推移


図3 試験期間中の施設内気温の推移(地上70cm)

[その他]
研究課題名:トマト黄化葉巻病の病原ウイルス及び媒介虫シルバーリーフコナジラミの生態解明に基づく環境保全型防除技術の確立
予算区分 :国庫補助(地域新技術)
研究期間 :2001〜2003年度


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