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メロンのアザミウマ類に対するククメリスカブリダニの効果的放飼方法


[要約]
ククメリスカブリダニはメロン株上での定着と放飼部位から上位方向への分散が悪い。本種を立体栽培メロンで利用する場合は、アザミウマの発生初期から収穫期まで2週間間隔で、上位部の葉に100頭ずつ放飼すると高い効果が得られる。

[キーワード]
ククメリスカブリダニ、メロン、アザミウマ類、放飼間隔

[担当]
熊本農研セ・生産研・病害虫研究室、九沖農研セ・野菜部・上席

[連絡先]096-248-6490	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
ククメリスカブリダニはミナミキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマ等のアザミウマ類を捕食する天敵である。これまで、ナスやキュウリでアザミウマ類の防除で利用されているが、施設栽培メロンにおける試験例および利用例は少ない。そこで、本種の施設栽培メロンにおける利用技術を確立するためメロン株上における本種の行動、分布、密度推移等の生態的特性と天敵としての有効性を評価し、効率的な放飼方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ククメリスカブリダニは、放飼部位位置より下方に位置する葉へは移動するが、上方に位置する葉への移動は少ない(図1)。

  2. メロンにおけるククメリスカブリダニの定着は悪く、放飼後2〜3週間で急速に密度が低下する(図2)。

  3. 株当たり100頭のククメリスカブリダニを発生初期から1週間間隔で4回、2週間間隔で4回、3週間間隔で3回放飼することにより、アザミウマ類に対する密度抑制効果が認められる。ただし、その効果は1週間間隔放飼区に比べて2週間間隔放飼区では同等、3週間間隔放飼区ではやや劣った(図3)。

  4. 本天敵は、収穫期まで継続して放飼することが必要である。経済性と効果から放飼間隔は2週間が最適である。

  5. 立体栽培メロンでククメリスカブリダニを利用する場合は、摘心前は展開中の葉へ、摘心後は上位と中位の展開葉へ、低密度時から収穫時まで2週間間隔で株当たり100頭を放飼する。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は春作および秋冬作の立体栽培メロンに適応する。

  2. アザミウマ類以外の病害虫防除が必要な場合は、ククメリスカブリダニに影響がないか、または小さい薬剤を使用する。

[具体的データ]

図1 メロン株上に放飼したククメリスカブリダニの葉位別分布の推移


図2 メロン株上におけるククメリスカブリダニの放飼後の密度分布


図3 異なる放飼間隔におけるククメリスカブリダニ(右)とアザミウマ類a)(左)の密度推移

[その他]
研究課題名:環境負荷低減のための病害虫高度管理技術の開発
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2000〜2003年度


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