コムギ黄斑病の発生推移と作付け体系の違いによる発生差異
- [要約]
- コムギ黄斑病は冬期の茎立ち前から発生し、出穂期頃から上位葉へと進展する。小麦-水稲-小麦の体系で作付けされた圃場では発生は少ないが、小麦-ダイズー小麦の体系では多く、作付け体系の違いにより発生に差異がある。
- [キーワード]
- コムギ、コムギ黄斑病、発生推移、作付け体系
- [担当]
- 大分農技セ・植物防疫部
[連絡先]0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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2000年頃から大分県野津町の栽培圃場において、5月以降急激に下葉から枯れ上がる症状が発生し、現地では問題となっていた。これまでに本病害はコムギ黄斑病であることが確認され、その後県内各地でその発生が確認されている。しかし、国内では本病の試験例は少なく、水稲やダイズとの作付け体系における発生生態等不明な点が多い。そこで本病の発生推移と、発生と作付け体系との関係について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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2月の茎立ち前の下葉に、周縁黄褐色の楕円形ないし不整形の褐色病斑を形成する(写真1)。3月に入ると下葉を中心に病斑数が増加する。
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4月中旬の出穂期頃から上位葉へと病斑が拡大し、4月下旬〜5月にかけて止葉にも病斑が認められる。それ以降は病斑数が増加するとともに融合、拡大し、下葉から急激に枯れ上がる(図1、図2)。
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小麦-水稲-小麦の体系で作付けされた圃場では発生が少ない。しかし、小麦-ダイズー小麦で作付けされた圃場では初期の病斑数が多く、その後の発生も多くなり、枯れあがりも激しくなる(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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伝染方法については不明である。
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集落営農で作付けされている地域では、本病を考慮したブロックローテーションの組み立てを行う。
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[具体的データ]
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写真1 初期病斑

図1 コムギ黄斑病の発生推移(中津市南高瀬)

図2 コムギ黄斑病の発生推移(野津町広原)

図3 同一地区内の前作の異なる圃場における発生差異
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[その他]
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研究課題名:農作物の病害虫防除技術
予算区分 :県単
研究期間 :2003年度
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