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カキ害虫フジコナカイガラムシの土着天敵類


[要約]
カキ害虫フジコナカイガラムシの天敵として、寄生蜂8種(うち未記録5種)と捕食者4種(全て未記録種)が確認される。最も多く採集された天敵は、寄生蜂ではフジコナカイガラクロバチ、捕食者ではタマバエの1種Trisops isincisaである。
[キーワード]
カキ、フジコナカイガラムシ、天敵、寄生蜂、捕食者

[担当]福岡農総試・病害虫部・虫害チーム
[連絡先]092-924-2938
[区分]九州沖縄農業・病害虫    
[分類]科学・参考      

[背景・ねらい]
カキの重要害虫であるフジコナカイガラムシは、近年発生が増加しており問題となっている。現在、土着天敵類による防除法を開発しているが天敵相に関する報告は少ない。そこで、土着天敵類を利用した総合的防除技術の基礎資料とするため、福岡県における天敵相を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 県内3カ所の無防除のカキ園においてフジコナカイガラムシ誘引バンドを用いて土着天敵類を採集した結果、寄生性天敵8種と捕食性天敵4種が採集される。このうち、寄生性天敵5種と捕食性天敵4種はフジコナカイガラムシの天敵として未記録のものである(表1)。

  2. 最も多く採集された寄生蜂はフジコナカイガラクロバチ、次いでフジコナカイガラトビコバチである(表1)。

  3. 最も多く採集された捕食者はタマバエ類で、その大部分がTrisopsi sincisaである。本種はこれまで既知の種Diadiplosis hirticornisと混同されていた(表1)。

  4. フジコナカイガラクロバチやフジコナカイガラトビコバチはフジコナカイガラムシの越冬世代から第3世代まで全世代で寄生が確認されるが、捕食性天敵はほとんどの場合、餌種が増加する第2世代以降に多く採集される(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 土着天敵類を利用した総合的防除技術確立のための基礎資料として活用する。

[具体的データ]

表1 採集されたフジコナカイガラムシの天敵類


図1 フジコナカイガラムシの主な天敵類

[その他]
研究課題名:土着天敵類の特性評価と活用技術の確立
予算区分 :国庫(指定試験)
研究期間 :2003年度(2001〜2005年度)


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