鹿児島県におけるエンドウのナモグリバエに寄生する土着寄生性天敵の種類と構成比
- [要約]
- 鹿児島県内8地域における,3,4月の露地栽培エンドウのナモグリバエに寄生する土着寄生性天敵のうち、種名が確認できたものは3科12種である。このうち、マメハモグリバエに対して有力な寄生蜂の比率は22.7〜75.4%である。
- [キーワード]
- 寄生蜂、エンドウ、ナモグリバエ、土着天敵
- [担当]
- 鹿児島県農業試験場・病虫部
[連絡先]099-268-3231
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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露地栽培のエンドウに発生するナモグリバエには、マメハモグリバエと共通する土着寄生性天敵を持つことから、天敵が増加する3月以降に、エンドウの小葉をハウス内に持ち込むことで、マメハモグリバエの防除が可能であることを既に明らかにした(以下、「ナモグリバエ土着天敵利用法」、成果情報第16号)。ここでは、鹿児島県内8地域の3月から4月における、露地栽培エンドウのハモグリバエ類の種類、ならびにそれらに寄生する土着寄生性天敵の種類、構成比を調査し、「ナモグリバエ土着天敵利用法」の鹿児島県内での普遍的利用の可能性を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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鹿児島県内の8地域の露地栽培エンドウにおいて、3月から4月に寄生するハモグリバエ類は、ほとんどがナモグリバエであった。また、それらのハモグリバエ類に寄生する土着寄生性天敵はすべて寄生蜂であり、種名が確認できたものは3科12種であった。
- 寄生蜂の優占種は地域によって異なるが、Dacnusa nipponica、Diglyphus isaea、Chrysocharis
pentheus、Chrysocharis pubicornis、Neochrysocharis formosaの5種のいずれかが優占種であった。また、調査虫数が12頭と少ない枕崎を除くと、D.nipponica、C.pentheus、C.pubicornis、D.isaeaはいずれの地域でも寄生が確認できた。
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寄生蜂のうち,マメハモグリバエに対して有力な天敵と考えられるC.pentheus、H.varicornis、D.isaea、N.formosa、N.okazakiiの寄生率の合計値は、最も低い地域で22.7%,最も高い地域で75.4%であった。
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[成果の活用面・留意点]
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- 「ナモグリバエ土着天敵利用法」は、鹿児島県内のいずれの地域においても、マメハモグリバエの防除法として利用できる可能性がある。
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近年マメハモグリバエに代わってトマトハモグリバエの発生が多くなっていることから、トマトハモグリバエに対する寄生性天敵については、今後調査する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 鹿児島県内のエンドウのハモグリバエ類とその土着寄生性天敵の構成比
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[その他]
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研究課題名:施設野菜病害虫の環境保全型総合管理技術の開発
施設ピーマン、ナス、トマトの生物的防除体系の確立
予算区分 :助成事業(新技術地域実用化研究促進事業)、県単
研究期間 :1999〜2006年度
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