ニセラーゴカブリダニのクワアザミウマに対する捕食能力
- [要約]
- ニセラーゴカブリダニ雌成虫の1日当り捕食量は、クワアザミウマ1齢幼虫、2齢幼虫、雌成虫を与えた場合、それぞれ8.1頭、6.4頭、1.8頭、ミナミキイロアザミウマ2齢幼虫を与えた場合は7.8頭である。本種にカンザワハダニとクワアザミウマを同時に与えた場合、後者を選好して捕食し、ニセラーゴカブリダニはハダニ類だけでなくアザミウマ類に対しても重要な捕食性天敵となり得る。
- [キーワード]
- ニセラーゴカブリダニ、アザミウマ、カンザワハダニ、捕食性天敵、捕食選好性
- [担当]
- 鹿児島県蚕業試験場・応用昆虫研究室
[連絡先]099-274-2606
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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ニセラーゴカブリダニはミカンハダニをはじめ、サビダニ類を捕食したり、花粉も摂食する雑食性の天敵である。野外調査において本種がクワアザミウマを捕食することが確認されたことから、本研究ではニセラーゴカブリダニのアザミウマ類に対する天敵資材としての可能性を評価するため、室内実験によりクワアザミウマとミナミキイロアザミウマの2種に対する捕食能力とクワアザミウマとカンザワハダニの両種に対する捕食選好性を調べる。
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[成果の内容・特徴]
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摂氏25度条件下でニセラーゴカブリダニ雌成虫にクワアザミウマ1齢および2齢幼虫、雌成虫をそれぞれ20頭与えた場合の1日当たり捕食量は、それぞれ8.1頭、6.4頭、1.8頭である(図1)。
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ニセラーゴカブリダニ雌成虫にカンザワハダニのコロニーの巣網を除去した卵だけを平均30個体、巣網を除去せずに卵を平均22個体与えた場合の1日当り捕食量は、それぞれ10.7個体、4.3個体と巣網の有無によって異なり(データ省略)、カンザワハダニのコロニー内の卵に対する本種の捕食能力は、ハダニの構築する巣網によってかなり制御されている可能性がある。
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ニセラーゴカブリダニは、クワアザミウマ1齢幼虫20頭とカンザワハダニ雌成虫20頭、クワアザミウマ1齢幼虫20頭とカンザワハダニコロニー(卵平均24.5個体+幼若虫平均3.8頭)をそれぞれ同時に与えた場合、どの組み合わせにおいてもクワアザミウマを多く捕食する(図2、図3)
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摂氏25度条件下でニセラーゴカブリダニ雌成虫にミナミキイロアザミウマ2齢幼虫20頭を与えた場合、本種は1日当り7.8頭を捕食することから(データ省略)、ハダニ類だけでなく、アザミウマ類に対しても重要な捕食性天敵になり得る。
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[成果の活用面・留意点]
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ミカンハダニのように深い巣網を構築しないハダニ類とアザミウマ類が混在した条件下でのニセラーゴカブリダニの捕食反応を調べる必要がある。
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[具体的データ]
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図1 ニセラーゴカブリダニ雌成虫のクワアザミウマ各ステージに対する1日当り捕食量

図2 ニセラーゴカブリダニ雌成虫のクワアザミウマおよびカンザワハダニに対する捕食選好性-I

図3 ニセラーゴカブリダニ雌成虫のクワアザミウマおよびカンザワハダニに対する捕食選好性-II
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[その他]
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研究課題名:蚕桑機能利用技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2005年度
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