沖縄県におけるジャガイモ青枯病の発生生態
- [要約]
- 種いも植付け後30日間の日平均気温が摂氏21.1度以上、その積算値が摂氏633.7度以上で経過した場合には、植付け60日以降に青枯病が多発するリスクが高い。
- [キーワード]
- ジャガイモ、青枯病、日平均気温の積算値
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・病虫部・病理研究室
[連絡先]098-884-9908
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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沖縄県のジャガイモ生産地域では、青枯病が慢性的に発生し、その被害が問題となっている。一般的に青枯病の発生には、種いも植付け後30日間の日平均気温の積算値が重要であることが知られている。そこで、青枯病の発生率推移と気象条件とを関連させて調査し、沖縄県において青枯病の発生する気象条件を解明する。
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[成果の内容・特徴]
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アンケート調査(平成11年度作)の結果、10月植付けの圃場19筆中、「少しの株が枯れ」は14筆(74%)、「半分の株が枯れ」は2筆(10%)である。また、10〜11月植付けの圃場12筆中、「少しの株が枯れ」が3筆(25%)、「半分の株が枯れ」は9筆(75%)である。日平均気温が低下してくる11月から12月にかけて植付けられた圃場においては、枯れ株の割合が少なくなる傾向がみられる(表1)。
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青枯病発生圃場を平成11〜13年度に定期的に調査した結果、種いも植付け後30日間の日平均気温の積算値が摂氏633.7度以上、日平均気温摂氏21.1度以上で経過した場合、植付け60、90日後には青枯病が多発する傾向がみられる(表2、図1)。
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アンケート調査結果において、10月、10〜11月にかけて種いもを植付けた圃場における枯れ株の発生がみられるという結果は、種いも植付け後30日間の日平均気温が摂氏21.1度以上で経過した場合、青枯病が多発するという圃場調査結果と一致する。
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[成果の活用面・留意点]
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沖縄県においては、前年度、青枯病の発生のみられた圃場においては、種いもを植付ける時期は気象台発表の長期予報を参考に植付け適期を決める。約摂氏21度以上の日平均気温が30日間続く時期の植付けは避け、約摂氏20度以下の日平均気温が30日間続く時期に植付ける必要がある。
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[具体的データ]
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表1 種いも植付け時期別の違いによる枯れ株の発生状況(平成11年度作アンケート調査結果)

表2 青枯病発生率の推移と種いも植付け後30日間における日平均気温積算値および日平均気温の関係

図1 植付け時期の違いによる青枯病被害状況
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[その他]
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研究課題名:九州・沖縄における畑作物活性化のための新しい持続的輪間作体系化技術の開発
1.対抗作物等の耕種的手法による特定病害虫被害軽減技術の開発
イ.対抗作物等の耕種的手法による特定病害虫防除技術の開発
c.耕種的病害虫防除技術の開発
予算区分 :国庫助成
研究期間 :2000〜2003年度
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