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水稲栽培における牛ふん堆肥施用量と化学肥料の減肥率


[要約]
干拓地水田の水稲「ヒノヒカリ」栽培において、牛ふん堆肥の施用量を毎年10a当たり0.5トン施用では化学肥料を10%減肥、1トン施用では20%減肥しても、m2当たり穂数及び収量が化学肥料単用と同等となり、土壌中へのリン酸、カリウムの集積が少ない。
[キーワード]
水稲、ヒノヒカリ、牛ふん堆肥、施用量、減肥、干拓地水田

[担当]
長崎県総合農林試験場・環境部・土壌肥料科

[連絡先]0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
干拓地水田(細粒灰色低地土)は地力が高く、水稲栽培において、牛ふん堆肥施用時には肥料効果を考慮した化学肥料の減肥が必要である。しかし、堆肥施用量毎の化学肥料減肥率の基準が無いため、農家の経験に基づく減肥であったり、減肥をしない肥料成分の上乗せとなっている面もある。そこで、水稲の生育・収量が化学肥料単用と同程度となる牛ふん堆肥施用量に応じた化学肥料の減肥率を明らかにし、環境負荷低減に配慮した施肥基準策定のための基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 牛ふん堆肥を毎年10a当たり0.5トン施用したときは、化学肥料を10%減肥、牛ふん堆肥を1〜2トン施用したときには化学肥料を20%減肥しても、化学肥料単用と同等のm2当たり穂数が確保でき、精玄米重も同等となる(表1表2)。

  2. 牛ふん堆肥の施用量が10a当たり0.5トン、1トン、2トンと増加するほど、土壌中の可給態リン酸、交換性カリウム含量が多くなる。また、牛ふん堆肥の2トン施用では無肥料でも化学肥料単用と比較し、可給態リン酸含量が40%、交換性カリウム含量が20%高くなり集積が見られる(表3表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は干拓地土壌(海成沖積の細粒灰色低地土)で活用できる。

  2. 牛ふん堆肥を連用した圃場は数年ごとに土壌分析を行い、リン酸・カリウム成分の低い肥料を使用する。

[具体的データ]

表1 精玄米重及び慣行対比(2000〜2002年の平均) kg/10a


表2 m2当たり穂数及び慣行対比(2000〜2002年の平均) 本/m2


表3 跡地土壌の有効態リン酸及び慣行対比(2000〜2002年の平均) mg/100g


表4 跡地土壌の交換性カリウム及び慣行対比(2000〜2002年の平均) mg/100g

[その他]
研究課題名:施用基準等設定栽培試験1.環境負荷低減に配慮した水稲での施肥基準の策定
予算区分 :国庫
研究期間 :2000〜2002年度


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