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高pH暗赤色土におけるオリエンタルユリの上位葉黄化症状は鉄欠乏である


[要約]
pHの高い暗赤色土で発生したオリエンタルユリの上位葉の黄化症状は,上位葉の2価鉄含有率が低く,キレート鉄の施用によって軽減されることから,この症状は,鉄欠乏である。

[キーワード]
暗赤色土、ユリ、黄化、高pH土壌、鉄欠乏

[担当]
鹿児島農試徳之島支場・土壌肥料研究室

[連絡先]0997-86-2004	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
奄美地域は、アルカリ性の琉球石灰岩風化土壌や強酸性の粘板岩風化土壌等、県本土にはみられない特殊な土壌が広く分布している。これらの土壌では土壌の持つ性質のため微量要素の過不足などによる生理障害が発生し、花き類の高品質安定生産の障害となっている。
そこで、現地で発生がみられるオリエンタルユリの上位葉の黄化症状について、発生要因を明らかにし、対策技術の確立を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. オリエンタルユリの上位葉の黄化した葉の活性鉄及び2価鉄含有率は、正常葉よりも低い(表1)。

  2. 土壌pHが高くなるに伴って、上位葉の葉色が淡くなる(図1)。

  3. キレート鉄の施用によって、上位葉の2価鉄含有率が高まり,黄化症状は軽減される(図2)。

  4. 土壌中の可給態鉄含量は、土壌のpHの上昇に伴って低くなる(図3)。

  5. これらのことから、オリエンタルユリの黄化症状は、高pH土壌における鉄欠乏症状と考えられる。

[成果の活用面・留意点]
  1. キレート鉄の葉面散布は効果は高いが、濃度が濃い場合、薬害が出る危険性がある。

[具体的データ]

表1 生育途中における黄化発生葉と正常葉の養分含有率


図1 石灰岩土壌のpHと葉緑素計値の関係


図2 収穫期における上位葉の葉緑素計値と2価鉄含量


図3 土壌中の可給態鉄含量

[その他]
研究課題名:奄美地域の重粘土壌における花き生理障害対策技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002


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