ニガウリ栽培における豚ぷん尿処理上澄液の施用効果
- [要約]
- 豚ぷん尿の曝気処理後に発生する処理上澄液をニガウリに栽培期間中、施用(6mm/日の量を週5日)したところ、化学肥料施用と同等の収量が得られるが、土壌中のカリウムの集積が見られる。
- [キーワード]
- 豚ぷん尿、処理上澄液、ニガウリ
- [担当]
- 沖縄県農業試験場化学部土壌微生物肥料研究室
[連絡先]098-884-9909
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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沖縄県における豚の飼養頭数は約30万頭ほどであり、その排泄物は年間約60万tに上ると推定される。これら排泄物の処理は曝気処理が安価で効果的な処理方法として普及しているが、処理後、固液分離した上澄液はそのまま排水されている。この処理上澄液は肥料成分が残存しており、その利活用は循環型社会を目指す上で重要である。そこで、この処理上澄液をニガウリに施用し、その効果及び土壌への影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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施用した処理上澄液の三要素成分はカリウムが最も多く、バランスが悪い(表1)。また、処理施設の稼働状況(雨水の流入、飼養頭数の変化等)によって窒素、リンの濃度に変動が見られる(データ省略)。
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処理上澄液を窒素基準で施用したところ、栽培終了時点でのカリウム施用量は標準施用量(26kg/10a)を大きく上回る(表2)。
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処理上澄液のみの栽培では初期生育の遅れで当初低収であったものの、後に他区に追いつき最終的には同程度の収量が得られる(図1)。
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処理上澄液で栽培したニガウリの品質(果実周、果実長、可食部の成分)は化学肥料で栽培したものと差は見られない(データ省略)。
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栽培後の土壌分析の結果、処理上澄液を施用した区は栽培前に比べカリウムの著しい集積が見られる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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処理上澄液を窒素基準で施用するとカリウムの集積を招くので、基肥のカリウムを減肥する。また、栽培後は圃場を裸地にしたり、クリーニングクロップで持ち出しをする。
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処理上澄液を施用する際は、カリウム基準で施用量を決定することが望ましい。
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軟岩型普通陸成未熟土石灰質における結果である。
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[具体的データ]
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表1 処理上澄液分析結果

表2 試験区及び施用量

表3 土壌分析結果

図1 ニガウリ収量(kg/区)
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[その他]
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研究課題名:沖縄式ゼロ・エミッション畜産廃棄物処理利用モデル研究開発
処理生成物利用技術(上澄液液体肥料及び汚泥安全性試験)
予算区分 :受託試験(沖縄産学官共同研究推進事業)
研究期間 :2002年度(単年度)
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