ヘアリーベッチを用いた生草マルチ用不耕起田植機
- [要約]
- 本機は生草マルチ切断の3枚ディスク、マルチ鎮圧用の鎮圧ローラおよび全面フロートを改良した6条型不耕起田植機であり、ヘアリーベッチ生草マルチ栽培に利用できる。移植精度は慣行耕起田植機と同程度である。
- [キーワード]
- ヘアリーベッチ、生草マルチ、不耕起、田植機
- [担当]
- 長崎県総合農林試験場・作物部・栽培技術科
[連絡先]0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・農業機械・土木、水田作
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 豆科の緑肥作物ヘアリーベッチを利用した水稲不耕起移植栽培は、前年秋に緑肥作物を播種し、水稲移植前に緑肥を生草のまま鎮圧してマルチ化した状態で水稲を栽培する技術であり、水稲生育前期の雑草抑制効果と肥料節減効果がある(九州農業研究成果情報15号)。この栽培は、通常の不耕起田植機では、ヘアリーベッチの茎葉が長く切れにくいため、車輪、フロート及び植付爪等に絡み付き、移植精度が落ちる。
そこで、生草マルチ圃場で使用できる専用不耕起田植機を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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開発機は生草マルチ切断および作溝用の3枚ディスク、マルチ鎮圧用の鎮圧ローラおよび全面フロートに改良した、生草マルチ栽培用の6条型不耕起田植機である(表1、図1、図2)。
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移植方法は、3枚ディスクで、生草マルチの切断と植付用の作溝を行い、鎮圧ローラでマルチを均平化する。さらに全面フロートでマルチを押さえた後、植付爪で移植する(表1、図1、図2)。
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走行部は前輪トレッドの縮小と、後輪補助車輪を設けることで、機体の沈み込みと、それに伴うマルチの引き込みが少なくなる。
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作溝部の両端にサイドディスクでマルチを切断することより、前工程で植え付けた場所の生草マルチを引き込まない。
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正常移植率は97〜98%であり、これは慣行田植機と同程度である(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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緑肥播種時における圃場を均平にする。
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旋回時にタイヤにヘアリーベッチが巻き込むので、枕地は耕起しておく。
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移植2日前頃に入水する。
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[具体的データ]
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表1 田植機の主な改良点│

図1 田植機後部

図2 移植状況

表2 田植機の移植精度および収量
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[その他]
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研究課題名:中山間地域水田活性化のための新しい環境保全型水稲移植栽培技術の開発
1)移植田植機の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度
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