風速50m/sに耐えるハウスの補強対策
- [要約]
- 風速50m/sに耐える耐候性ハウスの構造安全基準は軒高の1/60以内の軒変位である。低コストハウス(熊本方式)をφ8ブレースで補強をすることにより軒の変位は耐候性ハウスの構造安全基準内になる。
- [キーワード]
- 耐候性ハウス、台風補強対策、ブレース
- [担当]
- 熊本農研セ・生産環境研究所・施設経営研究室
[連絡先]096-248-6448
[区分]九州沖縄農業・農業機械・土木
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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低コストハウス(熊本県:2002年成果情報)は有限要素法構造解析において風速50m/sの風圧を想定し、基礎の固定条件をピン接合としたときハウス軒の変位が耐候性ハウスの構造安全基準を越えてしまう。そこで、構造安全基準である軒高1/60(40mm)以内の軒の変位となるようブレース等による台風補強対策を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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- ハウス妻面方向からの風速50m/sを想定した荷重の場合、有限要素法構造解析ソフト「コスモス」を用いた3次元ビーム弾性解析による補強前ハウスモデルの最大変位は、18.3mmと安全基準内となり、さらに、応力は214N/mm2と高張力鋼の短期許容応力度500N/mm2以下となり妻面方向の補強は必要ない(図1、表1)。
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ハウスサイド方向からの風速50m/sを想定した荷重の場合、2次元ビーム弾性解析による補強前モデルの最大変位は236mmで構造安全基準を超える。そのため、サイド方向からの荷重に耐える補強が必要である(図2)。
- φ8ブレースによる補強モデル1および2を2次元ビーム弾性解析した結果、補強モデル1の場合はフレームの最大変位は18.7mm、応力が189N/mm2、補強モデル2の場合最大変位は11.7mm、応力が137N/mm2となり、軒変位の安全基準を満たし、フレーム及びφ8ブレースも弾性範囲内と確認できる(図3,表1)。
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熊本県農業研究センターで開発したハウスはφ8ブレースによる補強を行うことと硬質系フィルムを展帳することで耐候性ハウスとなる。
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[成果の活用面・留意点]
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台風時はモデル1または2のようなφ8ブレースによる補強を行う必要がある。
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巻き上げ式の換気方法を採用しており台風時はこれまでどおりスプリングによる2段固定が必要である。
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[具体的データ]
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図1 補強前モデル妻方向からの変位量

図2 補強前モデルサイド方向からの変位量

図3 補強モデル1,2の変位量

表1 解析モデルの変位量及び応力
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[その他]
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研究課題名:気象災害に強い低コスト園芸施設の開発
予算区分 :助成試験(先端技術)
研究期間 :2002〜2003年度
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