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トラクタダンプを用いた作業システムによる大区画水田の均平度改善効果


[要約]
大区画水田に生じる凹凸による均平度の悪化は、熊本県で開発した均平化作業システムで改善することができる。これにより、湛水深が均一になり、圃場内に生じる水稲の収量むらを解消する効果が期待できる。

[キーワード]
大区画水田,トラクタダンプ,均平化,湛水深,水稲収量

[担当]
熊本農研セ・生産環境研・土壌肥料研究室

[連絡先]096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・農業機械・土木	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
基盤整備後の大区画水田において同一水田内に発生する凹凸による均平度の悪化は、水管理の煩雑化、雑草の繁茂、生育ムラの発生等を助長する要因となる。また、直播栽培を始めとする低コスト栽培技術の導入を妨げる原因となっている。そこで、凹凸が毎年発生することが確認されている水田において、熊本県で開発した均平化作業システムを導入し、均平度の改善効果を実証する。

[成果の内容・特徴]
  1. 均平化作業の導入により、3年間で高低差(水田内の地表面の最大と最小の標高差)を105mmから44oに、標準偏差(平均田面と水田内の各地点の標高との差の標準偏差)を13.5oから8.9oに減少することができた。一方、均平化作業を行わない圃場では、均平度の経年的な向上(高低差もしくは標準偏差の減少)は認められなかった(図1)。

  2. 均平化作業の導入により、湛水深はH12.7には10〜90mmと広い範囲(80o)であったが、H15.7には40〜60oと狭い範囲(20o)となり、同一水田内の湛水深のむらはほとんど無くなった(図2,図3)。

  3. 均平化作業の導入により、同一水田内の沈下の大きい箇所と小さい箇所における水稲収量(坪刈り)差は、約100Kg/10aから0Kg/10aに減少し、場所による収量差はほとんど無くなった(表1)。

  4. 以上の結果より、トラクタダンプを用いた作業システムの導入により、均平度の改善と同一水田内での湛水深および水稲収量の均一化が期待できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 技術の適用場面は、凹凸が毎年発生する大区画水田圃場(細粒強グライ土等)である。

  2. 高い均平度を達成するためには、毎年均平化作業を繰り返すことが有効である。

  3. 均平化作業システムについては九州沖縄農業研究成果情報第18号下巻pp.601〜602に掲載。

[具体的データ]

図1 均平度調査結果


図2 湛水深の分布状況(H12.7)


図3 湛水深の分布状況(H15.7)


表1 均平化区における水稲玄米収量

[その他]
研究課題名:計画基礎諸元調査・用排水ほ場整備基礎諸元調査「ほ場整備・水田」
予算区分 :受託(九州農政局資源課)
研究期間 :1999〜2003年度


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