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有色ジャガイモの機能性を活かした酒の製造法


[要約]
有色ジャガイモを用いると抗酸化活性(DPPHラジカル消去活性)を有するピンクまたはオレンジ系の色の醸造酒を製造できる。その際、もろみのpHが低下した後にジャガイモを添加すると、製品のアントシアニン量が多くなり、着色度が増す。

[キーワード]
ジャガイモ、醸造酒、抗酸化活性、アントシアニン

[担当]
長崎総農林試・環境部・加工化学科

[連絡先]0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・流通加工	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
長崎県は全国第2位のジャガイモの産地であり、総合農林試験場愛野馬鈴薯支場では肉色が紫や赤色のカラフルなジャガイモを育成している。これらの色は、ポリフェノールの一種であり抗酸化能を持つアントシアニンに因るものである。この有色ジャガイモの色および機能性を活かした醸造酒を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 従来の清酒製造原料のうち、蒸米の50%(重量比)を蒸した有色ジャガイモに置換することによりアルコール度11.3%の醸造酒を製造できる(表1)。

  2. もろみのpHが低下した後に蒸したジャガイモを添加することにより、アントシアニン量および製品の着色度を高めることができる。また製品はDPPHラジカル消去活性(抗酸化活性の指標)を有する(表2)。

  3. 肉色が紫色の「長系114号」を用いるとピンク系の色、赤色の「長系115号」を用いるとオレンジ系の色の製品が得られる(図1)。

  4. 試飲アンケートの結果、色および香りについて評価が高く、「好き」あるいは「どちらかというと好き」という回答が全体の40%以上を占める(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 生の製品は退色するため、火入れを行う。また火入れした製品でも、光により退色および風味の劣化が生じるため、遮光して保存する。

  2. 製造には雑酒の製造免許を取得する必要がある。

[具体的データ]

表1 仕込み配合割合(%)


表2 ジャガイモ添加時期による製品のアントシアニン量、着色度およびDPPHラジカル消去活性


図1 製品の色


図2 色、香り、味に対する評価

[その他]
研究課題名:有色バレイショの機能性を活かした酒の開発
予算区分 :受託試験
研究期間 :2001〜2002年度


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