熊本県産大豆の特性とペースト化
- [要約]
- 熊本県産大豆の「キヨミドリ」や「丹波黒」は、イソフラボンやポリフェノール等の機能性成分含量が高い。また、加熱処理後全粒ペースト化したものは青臭みが無く、様々な加工品への利用が可能で、大豆の機能性を充分活かした加工素材となる。
- [キーワード]
- 大豆、ペースト、機能性
- [担当]
- 熊本食加研・研究開発課
[連絡先]096-368-3600
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
大豆の消費拡大のためには、従来加工品以外への加工利用が重要である。そこで、有色大豆を含む県産大豆の機能性成分等の特性を調査するとともに、大豆特有の青臭みを抑え、オカラ部分に多く含まれる食物繊維等機能性成分を活かした全粒大豆ペーストを作成し、各種加工品への利用を検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
「丹波黒」はビタミンE活性、ポリフェノール含量、抗酸化能が特に高く、イソフラボン含量も高い。「キヨミドリ」はイソフラボン含量が多く、ビタミンEの中でもγ―トコフェノール含量が高い。(表1、図1)
-
大豆を洗浄して短時間吸水させた後、10分間蒸して一晩吸水させ、コロイドミルでクリーム状に加工した大豆ペーストは、大豆の青臭さが無く、滑らかで麺やせんべい、テリーヌ等の加工素材として利用できる。(写真1)
-
本ペーストは、レトルト処理(摂氏121度、10分間)では色調がやや褐色に変化し、タンパク変成により固まり水に溶けにくくなるなど質感が変化する。しかし、加熱処理(摂氏80度、20分間)では色調の変化はほとんど無く、クリーム状の質感も変わらない。(写真2)
-
「フクユタカ」ペーストの食物繊維やビタミンE、イソフラボン等の成分は、加工処理による大幅な減少はみられない。(表2)
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
加熱処理した本ペーストは、冷凍での流通を行う。
-
レトルト処理により本ペーストは、質感が変わり溶けにくくなるため、加工の際は他材料に徐々に練り込むようにする。
-
フードカッターやミンチチョッパー等ではコロイドミルに比べ、粗めのペーストとなるが、滑らかさを必要としない加工品(パン等)での利用は可能である。
-
[具体的データ]
-

表1 県産大豆の機能性成分(乾燥重量100g中)

表2 フクユタカペーストの成分分析(乾燥重量100g中)

図1 県産大豆の各トリフェロール含量

写真1 ペーストを練り込んだ試作品

写真2 ペーストの色調と温度処理
-
[その他]
-
研究課題名:大豆を利用した食品の開発に関する研究
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度
目次へ戻る