褐毛和種肥育牛における共役リノール酸の蓄積状況と加工特性
- [要約]
- 褐毛和種肥育牛において、共役リノール酸(9c・11tCLA)は筋間脂肪より皮下脂肪に多く含まれ、バラ肉に多くスネ肉に少なく、黒毛和種や交雑種に比べやや低い傾向にあった。また、皮下脂肪を加熱処理してもCLA量は無処理のものと変わらず加熱によるCLA含有割合の減少はない。
- [キーワード]
- 褐毛和種、共役リノール酸
- [担当]
- 熊本食加研・研究開発課
[連絡先]096-368-3600
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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共役リノール酸(9c・11tCLA)は必須脂肪酸であるリノール酸の幾何異性体で、他の農産物より反芻家畜の生産物に多く含まれ、抗腫瘍作用などその多種多様な生理活性から非常に注目を集めている。そこで、熊本県の特産牛である褐毛和種肥育牛の枝肉部位別の各脂肪におけるCLAの蓄積状況と加熱処理によるCLA量の変化について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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褐毛和種肥育牛では、リブロースで0.36,0.25%(皮下、筋間脂肪の順、以下略)、バラで0.38,0.28%、ウチモモで0.31,0.27%、スネで0.31,0.27%、腎臓脂肪で0.18%のCLA含有割合を示し筋間脂肪に比べ皮下脂肪の方が多い傾向であった。(表1)
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品種別では、黒毛和種、交雑種、褐毛和種の順にCLA含有量が低くなり、黒毛和種と褐毛和種の間に有意差が認められた。(表2)
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褐毛和種では、肥育終期まで粗飼料の給与割合が多い方がCLA含有割合がやや高い傾向にあったが有意差はなかった。(表3)
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バラ皮下脂肪に摂氏80度、摂氏100度、摂氏120度の加熱処理を行い、無処理の場合と比較した結果、CLA含有割合は変わらず加熱調理によるCLAの変化はほとんどないと考えられる。(図1)
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[成果の活用面・留意点]
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阿蘇地方の放牧を主体とする肥育牛を粗飼料多給グループとし、通常の肥育牛を濃厚飼料多給グループとした。
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[具体的データ]
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表1 褐毛和種の各脂肪組織におけるCLA含有割合(%)

表2 品種別筋間脂肪におけるCLA含有割合(%)

表3 褐毛和種の飼養方法別CLA含有割合(%)

図1 加熱処理によるCLA含有割合の変化
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[その他]
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研究課題名:肥後ビーフにおける共役リノール酸(CLA)の蓄積状況の検討とそれに基づく加工品の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度
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