人工衛星画像を用いた米のタンパク質含量の推定
- [要約]
- 登熟期(成熟期の11日前以降)における圃場の人工衛星画像から計算した正規化植生指数を用いることで、収穫前に米のタンパク質含量の多少を判定できる。
- [キーワード]
- リモートセンシング、人工衛星、タンパク質含量、正規化植生指数、イネ
- [担当]
- 佐賀農業セ・企画流通部・情報システム研究
[連絡先]0952-45-2141
[区分]九州農業・情報研究
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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米の価格低迷が続く中、産地間競争を勝ち抜くためには、良食味で均一な米の生産が不可欠である。特に、プール管理で多量に処理される共同乾燥施設においては、高タンパク質米の混入は、全体の評価の低下に結びつくため、荷受け時の仕分けが必要である。しかし、荷受け時に籾のタンパク質含量を効率的に計測し選別するのは難しく、また、葉色調査によるタンパク質含量推定は多くの時間と労力を要する。そこで、人工衛星画像を用いて圃場段階でのタンパク質含量を推定する。
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[成果の内容・特徴]
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人工衛星画像から求めた成熟期前の正規化植生指数と米のタンパク質含量との間には相関があり、正規化植生指数が高いほどタンパク質含量も多くなる(図1)。ただし、この場合の決定係数は0.4〜0.6である。正規化植生指数は次式で求める。
正規化植生指数=(IR-RED)/(IR+RED)
IR:近赤外線の反射光の輝度
RED:赤色の反射光の輝度
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この関係を用いることで、人工衛星画像から各圃場をタンパク質含量に基づいて格付けする事ができ、荷受け時に効率的に分別できる(図2)。
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一般に、移植日の早い圃場の方が退色が早いため、同じタンパク質含量でも正規化植生指数が低くなる。よって移植日が異なる場合は単純に比較できない(図1)。タンパク質含量を推定するには、同一移植期毎に推定するか、移植期のずれを補正する必要がある。
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人工衛星で撮影する時期は成熟期の11日前以降が望ましい(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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この研究は佐賀県平坦部における普通期栽培のヒノヒカリを対象に行った。
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圃場毎の平均正規化植生指数を算出するためには地理情報システムが必要である。
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[具体的データ]
図1 移植期ごとの正規化植生指数とタンパク質含量との関係

図2 分別の流れ

表1 撮影日がタンパク質含量と正規化植生指数の決定係数に与える影響
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[その他]
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研究課題名:品質評価確立実証事業(人工衛星による米の食味・品質管理システムの開発)
予算区分 :国庫助成
研究期間 :2001〜2003年度
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