長崎県における水稲奨励品種候補系統「西海250号」の特性
- [要約]
- 水稲「西海250号」は、「かりの舞」に比べ出穂期で4日、成熟期で7日早い中生の晩である。稈長がやや長く耐倒伏性はやや弱いが、千粒重が重く収量性が高い。玄米の外観品質も優れ、食味は「ヒノヒカリ」並の良食味である。
- [キーワード]
- イネ、奨励品種、西海250号、良食味
- [担当]
- 長崎総農林試・作物園芸部・作物科
[連絡先]電話0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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長崎県では「ヒノヒカリ」が水稲作付面積の約7割を占めており、1品種への集中は収穫体系や共同乾燥施設利用の分散、気象災害の回避等の面から問題となっている。また、平坦地向け晩生品種である「かりの舞」は成熟期が遅いため充実不足による品質・収量の低下がおこりやすく、作付面積は減少している。このため「ヒノヒカリ」と熟期分散ができ、かつ「かりの舞」より熟期の早い良質、良食味品種の選定が必要である。
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[成果の内容・特徴]
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「西海250号」(は系626/北陸174号:九州沖縄農業研究センター育成)は「かりの舞」と比較して次のような特性を有する。
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出穂期で4日、成熟期で7日早い“中生の晩”である(表1)。
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稈長はやや長く、耐倒伏性はやや弱い(表1)。
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穂長は同程度で、穂数は多く、一穂籾数は少ない(表1)。
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玄米の千粒重は重く収量性は高い(表1)。
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玄米の外観品質は優れ、粒張りが良く、粒厚も厚く、粒揃いも良い(表1、表2)
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食味は「ヒノヒカリ」並に優れる良食味である(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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県央、県南地区の平坦地を対象に、「かりの舞」と「ヒノヒカリ」の一部に替えて約1,100haに普及予定である。
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いもち病に弱いので常発地での栽培は避けるとともに、その他の地域においても、いもち病に対する適期防除を行う。
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多肥栽培で増収するが、倒伏のおそれがあるため、極端な多肥栽培は避ける。
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[具体的データ]
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表1 生育、収量、品質

表2 粒厚分布(重量比%)

表3 食味試験結果
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[その他]
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研究課題名:稲・麦・大豆奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度
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