水稲奨励品種候補「西海248号」の熊本県における特性
- [要約]
- 晩生品種「西海248号」は、「ユメヒカリ」に比べ耐倒伏性が強く、多収で良食味である。同系統を熊本県で奨励品種に採用し、県下の平坦地域・山麓準平坦地域に普及を図る。
- [キーワード]
- 奨励品種、多収、西海248号、晩生、良食味
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・農産園芸研究所・作物研究室、球磨農業研究所
[連絡先]電話(農産園芸研)096-248-6444・(球磨農研)0966-45-0470
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、平坦地域において「森のくまさん」と組合せ可能な晩生の奨励品種の「ユメヒカリ」は流通評価が低下しており、作付面積は当初の普及見込み面積に対して伸び悩んでいる。また、山麓準平坦地域では「ヒノヒカリ」に作付が集中し、収穫作業や共同乾燥調整施設の運営に支障をきたしている。このような状況から、晩生種の「西海248号」を奨励品種に採用して普及させることにより、「ヒノヒカリ」、「森のくまさん」との熟期分散を図る。
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[成果の内容・特徴]
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「西海248号」(交配組合わせ:南海127号(かりの舞)/西海230号(あきさやか)九州沖縄農業研究センター育成)は、「ユメヒカリ」に比べて次のような特性を有する。
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出穂期は1〜3日早く、成熟期は0〜3日遅い“晩生の晩”である(表1)。
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稈長は4cm穂長は2cm程度長く、穂数は同じかやや少ない(表1)。
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耐倒伏性は“強”である(表1)。
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収量性は明らかに優れる(表1、図1)。
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玄米の粒大は“中”で、玄米千粒重は重く、品質は同じかやや劣る(表1)。
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食味は、優れる(表2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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熊本県の平坦地域、山麓準平坦地域において、「ユメヒカリ」、「レイホウ」の全部及び「ヒノヒカリ」の一部に替えて5000haの普及を予定している。
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いもち病にはやや弱いので、多肥栽培をさけ、適期防除を行う(表1)。
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白葉枯病には弱いので、常発地での栽培を避ける(表1)。
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登熟期間が長いため、成熟期判定に注意を要する。
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[具体的データ]
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表1 生育・収量調査(2001予備調査、2002〜2004本調査)

表2 食味官能試験(穀物協定協会)

表3 食味官能試験(農産園芸研究所)

図1 現地試験における精玄米重の比較(2002〜2004)
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[その他]
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研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2004年度
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