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極良食味で多収の暖地向き晩生水稲新品種候補系統「南海157号」


[要約]
水稲「南海157号」は、ユメヒカリ熟期の晩生の粳種として宮崎県で普及予定である。食味は「ヒノヒカリ」並の極良食味である。縞葉枯病の抵抗性をもち、耐倒伏性に優れ、「ユメヒカリ」より多収である。

[キーワード]
イネ、新品種、晩生の晩、粳、南海157号

[担当]
宮崎県総農試・作物部・育種科

[連絡先]電話0985-73-2126	
[区分]九州沖縄農業・水田作、作物・稲	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
現在、普通期水稲地帯では、中生の「ヒノヒカリ」の作付面積が91%を占め、作業受委託等の進む中、収穫や乾燥調製作業の集中、競合などが大きな問題となっている。また、近年は温暖化や台風等の気象災害等による収量、品質、食味への影響が生じており対策が急務となっている。そこで、熟期分散に適した晩生の多収、極良食味で耐倒伏性に優れた品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「南海157号」は1994年に宮崎県総合農業試験場において、中〜晩生、極良食味品種の育成を目標に中生、極良食味の「南海132号」を母とし、晩生、極良食味の「南海127号」(「かりの舞」)を父として人工交配を行った組合せから育成された粳系統である。(表1

  2. 「ユメヒカリ」に比べ、出穂期は4日、成熟期は4日遅く、育成地では“晩生の晩”(ミナミヒカリ級)に属する。(表1

  3. 稈長は「ユメヒカリ」よりやや短く、穂長及び穂数は同程度で、草型は“中間型”である。(表1

  4. 耐倒伏性は強く、「ユメヒカリ」より強い“強”である。葉いもち抵抗性は“中”、穂いもち抵抗性は“やや強”、真性抵抗性は“Pi-a,Pi-i”をもつと推定される。白葉枯病抵抗性は“弱”である。縞葉枯病には抵抗性である。(表1

  5. 穂発芽性は“難”、脱粒性は“難”で、玄米収量は「ユメヒカリ」より多収で、「ヒノヒカリ」並みである。(表1

  6. 玄米の形状は“中”、粒大も“中”で、千粒重は「ユメヒカリ」と同程度で、年によってはやや腹白、乳白の発生があり、外観品質は「ユメヒカリ」並である。(表1

  7. 食味は、「ヒノヒカリ」並の極良食味である。(表1

[成果の活用面・留意点]
  1. 晩生の晩、縞葉枯病の抵抗性をもち極良食味の特徴から、「南海157号」は、暖地の平坦地に適すると思われる。

  2. 宮崎県の奨励品種として晩生品種「かりの舞」、「ユメヒカリ」と、県南西部及び中北部の平坦地で作付けされている「ヒノヒカリ」の一部に替えて普及予定であり、普及見込み面積は2,800haである。

  3. 白葉枯病に弱いため常発地での栽培は避け、河川の氾濫等による冠水時は適切な防除を行う。

[具体的データ]

表1 [南海157号]の特性概要

[その他]
研究課題名:奨励品種決定調査及び原原種生産、普通期水稲新品種育成試験
予算区分 :県単、国庫
研究期間 :1994(H6)〜


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