良食味で多収の早期水稲新品種候補系統「宮崎糯35号」
- [要約]
- 水稲「宮崎糯35号」は、コシヒカリ熟期の早生の糯種で、宮崎県の早期水稲地帯で普及予定である。褐色のふ先色をもち、耐冷性が強く、食味は「峰の雪もち」より優れ、「峰の雪もち」より多収である。
- [キーワード]
- イネ、奨励品種、宮崎糯35号、良食味、多収、耐冷性強
- [担当]
- 宮崎県総農試・作物部・育種科
[連絡先]電話0985-73-2126
[区分]九州沖縄農業・水田作、作物・稲
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、宮崎県における早期水稲の糯品種は、強稈、多収、良質の「峰の雪もち」が73%を占めるが、ふ先色がないため、種子流通において取扱上の問題がしばしば見受けられ、生産現場での大きな問題となっている。そこで、「峰の雪もち」と同熟期で粳品種と識別性のある優れた糯品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「宮崎糯35号」は1994年宮崎県総合農業試験場において、早生、良食味でふ先色をもつ糯品種の育成を目標に、早生、良食味の「峰の雪もち」を母、同じく良食味でふ先色をもつ「宮崎もち」を父として人工交配を行った組み合わせから育成された糯系統である(表1)。
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「峰の雪もち」に比べ出穂期、成熟期ともほぼ同じで、育成地では“早生の早”(コシヒカリ級)に属する(表1)。
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稈長は「峰の雪もち」より長く、穂長は同程度で穂数はやや多く、草型は“中間型”の糯種である(表1)。
- 耐倒伏性は“強”で、「峰の雪もち」と同程度である。葉いもち抵抗性は“中”、穂いもち抵抗性は“やや強”であり、真性抵抗性は“Pi-a”を持つと推定される。白葉枯病抵抗性は“弱”である(表1)。
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穂発芽性は“やや難”で脱粒性は“難”、耐冷性は“強”であり、玄米収量は「峰の雪もち」より多収である(表1)。
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玄米の粒形は“中”、粒大は“中”で、千粒重は「峰の雪もち」と同程度、外観品質は「峰の雪もち」並みである。餅にした時の伸びが優れ、「峰の雪もち」より良食味である(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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宮崎県の早期栽培地帯の糯品種として、「峰の雪もち」に替えて約40ha普及が見込まれる。
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白葉枯病に弱いため常発地での栽培は避け、河川の氾濫等による冠水時は適切な防除を行う。
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[具体的データ]
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表1 「宮崎糯35号」の特性概要
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[その他]
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研究課題名:奨励品種決定調査及び原々種生産、みやざきオリジナル多用途水稲品種の育成
予算区分 :県単
研究期間 :1994年〜
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