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オオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統に抵抗性を持つ「九州二条17号」の熊本県における特性


[要約]
二条大麦「九州二条17号」は、奨励(認定)品種「ミサトゴールデン」より出穂期が3日、成熟期が3日遅いが、オオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統に抵抗性を有し、精麦品質が良く、焼酎醸造適性も同等であるため、熊本県で認定品種に採用する。

[キーワード]
二条大麦、オオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統、抵抗性、焼酎醸造用、奨励品種

[担当]
熊本農研セ・農産園芸研究所・作物研究室

[連絡先]電話096-248-6445	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
熊本県における食糧用二条大麦の主力品種は「ミサトゴールデン」で、その主な用途は焼酎醸造用である。「ミサトゴールデン」は主に菊池地域で作付されているが、近年オオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統が菊池地域で発生し、年々被害ほ場が拡大している。しかし、熊本県の他の二条大麦品種である「ニシノホシ」と「ニシノチカラ」はIII型系統に対する抵抗性を有していない。そこでオオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統に抵抗性を有し、「ミサトゴールデン」と同程度以上の栽培特性・焼酎加工適性を持つ品種を選定する。

[成果の内容・特徴]
「九州二条17号」は福岡県農業総合試験場において、「九州二条11号」と「栃系225」との交配から育成された大麦であり、「ミサトゴールデン」と比較して以下の特性がある。

  1. 出穂期、成熟期とも3日程度遅い(表1表2)。

  2. 稈長は短く、穂長は長く、穂数は同程度かやや少ない。耐倒伏性は優る(表1表2)。

  3. オオムギ縞萎縮ウィルスIII型系統に対する抵抗性は優れ、生育期間中発生は全く見られない(表2表4)。うどんこ病、赤かび病に対する抵抗性は同程度である(表1)。

  4. 千粒重、容積重は同程度かやや重く、収量はやや多い。検査等級では優る(表1表2)。

  5. 精麦の欠損粒を除いた正常粒率はやや劣るが、搗精時間は短く、精麦加工適性は同等かやや優れる。また、澱粉価、焼酎に加工したときのアルコール度数が高いことから焼酎に適する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 県内の大麦栽培地帯、特に大麦縞萎縮病[III]型系統汚染地帯に適する。

[具体的データ]

表1 「九州二条17号」の生育調査及び収量調査結果


表2 「九州二条17号」の現地試験結果


表3 「九州二条17号」の加工適性調査結果


表4 「九州二条17号」のオオムギ縞萎縮病抵抗性(I、III型)検定試験結果

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2003年度


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